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MarkeZine Day 2025 Retail

長祐氏と考える顧客理解と顧客戦略

クロスユーザーの年間平均購入額は3倍超⁉OMOを推進するユナイテッドアローズの顧客起点マーケティング

「商品を売ったら終わり」ではない。顧客起点で築かれる組織文化

長:店舗スタッフが行っているお客様理解を本部の社員も同じようにできると素晴らしいですよね。顧客起点において最終的には、全社員が同じ理解を持つことが大切だと思いますが、そのために取り組まれていることはありますか?

岩井:当社では、経営理念の実現のため社是に「すべてはお客様のためにある」を掲げ、すべての従業員がこころがける基本姿勢になっています。「お客様に喜んでいただく」という思いを、社員全員が本気で持っているのです。冒頭でお伝えした「お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになっていこう」というテーマに向けて、全社員が熱量をもって取り組んでいます。

 そのため、顧客理解を進める取り組みを実施することは、難しいことはありません。たとえば「UAクラブ」刷新の際も、どのように変わるのか、なぜ変わるのか、変化によってお客様にどのように行動していただきたいのか、そのために社員に何をしてもらいたいのかを一つひとつ丁寧に伝えていきました。お客様起点という考え方が社内で共有された瞬間に、本当に大きなパワーで動き出すのです。

 またユナイテッドアローズでは、34年前からLTVの考えが根付いていることも特徴的です。社内の各種資料に組み込まれているのですね。「商品を売ったら終わり」ではなく、一人のお客様に何度でも来店していただきたい。商品を買っていただくためではなく、お客様にとって本当に価値のあるものを知り、提案することが必要だということがしっかりと書かれているのです。これには私自身、感銘を受けました。

「感動ドリブン&店舗ドリブン」を掲げて

長:最後に、今後の展望をお聞かせください。

岩井:今期、私たちは改めて顧客視点のOMOを実現していくために「感動ドリブン&店舗ドリブン」という方向性を打ち出しました。これまでの4、5年は、どちらかと言うとデジタルの整備やリプレースに注力してきました。一定の効果も出ていますが、あくまでツールの整備という側面があります。

 重要なのは、それをいかにお客様にフィットさせるか、お客様に便利で使いやすいと感じていただけるか、「やっぱりユナイテッドアローズだよね」と言っていただけるかどうかです。これは全く別の軸だと考えています。

 起点となるのは、やはり店舗だと考えています。なぜなら、感動を提供できているのは店舗だからです。お客様にとって便利な状況をしっかりと構築し、店舗スタッフがそれをお客様に接客で提供できる環境を作ることにも、大きな意識を向けています。

 マーケティングとオペレーションの両軸で、中期的な成果を出していきたいと考えています。そして、お客様とより深くつながるというテーマをクリアしていきたいです。

長:岩井さんのお話から、ユナイテッドアローズでは、組織として体系的な顧客理解を行った上で、自社独自のブランド価値を定め、提供すべき顧客体験を社員全員で意識し実行する仕組みを作られていることが窺えます。顧客理解をすることが、戦略立案や、施策開発にきちんとつながっており、まさに「顧客起点」のマーケティングをされていると感じました。

 私自身もユナイテッドアローズが大好きです。今回改めてお話をうかがって、ユナイテッドアローズの「お客様に愛され続ける、高付加価値提供グループになる」というテーマを、具体的な戦略や施策へとつなげ、「組織全体の仕組み」として構築されているからこそ顧客に愛されるブランドを育てることができているのだと再認識できました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

⻑ 祐(チョウ タスク)

 東京大学大学院卒業後、P&G入社。ジレット、ジョイ、SK-II、BRAUNなど多岐に渡るブランドマネジメントを行い、P&Gジャパン執行役員に就任。2019年にM-Force株式会社代表取締役に就任し、顧客起点マーケティング「9segs®」の運用ツール「9segs®analyzer」の開発・導入・運用支援を行う。

https://mforce.jp/
https://markezine.jp/article/detail/34425

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/44955

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