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良い広告って何だろう? きぬた歯科の事例に学ぶ、話題化だけじゃない広告戦略

良い広告=〇〇〇〇を狙える広告

阿部:私は、きぬた先生が看板広告で「一石五鳥」を狙っていると考えています。広告によって人々の印象に残り、関係者には感謝される。話題になって口コミが増え、それによってさらに多くの人の目に触れる。一つの看板広告で数多くの効果を狙っていますよね。

きぬた:広告で遊んでいるわけではありませんからね。儲けるためにやっています。こんなにも看板に投資しているのは、お金になるからです。どんなビジネスでも、儲からないのであればやる必要はありません。そこから逃げてはいけない。私は自営業者なので逃げられません。本当に儲かっているのか、いつも検証しています。

阿部:年間広告費としてどれくらいの額を投じているんですか?

きぬた:2023年は2億6,000万円くらいでした。

阿部:すごい金額です。長期的な収益をしっかりと見ていらっしゃるんですね。先生は西八王子の1店舗しか経営されていませんが、多店舗展開する予定はなかったのでしょうか。

きぬた:多店舗展開すると、ランニングコストがかかります。「新宿あたりに1店舗を出したらどうなるか」と頭の中でシミュレーションをしますが、売上は増えても利益が増えるとはどうしても思えないんです。「20店舗経営しています」なんて言えればかっこいいですが、かっこよく生きる必要はありません。利益の最大化のため、命を削ってやってきました。

阿部:右肩上がりの業績は、その結晶なのですね。

身銭を切ってでもその施策をやれるか

阿部:本日のテーマである「良い広告」の定義をまとめるなら、良い広告とは「反響を生み“一石五鳥”を狙える広告」であると言えるかもしれません。最後にきぬた先生から、この場にいらっしゃるマーケターの皆さんに向けてメッセージをお願いできますか。

きぬた:数字を追ってレポートにまとめて「これで良いだろう」そんなやり方を延々と繰り返していてはダメだと思います。「自分のお金を使ってでもやれるか」「自分のお金だったらどう使うか」という視点が大切です。

きぬた:それから、炎上を恐れないこと。炎上を恐れて話し合いを重ねていくと、当たり障りのないものしか生まれません。ハラスメントの類は容認できませんが「下品だ」という苦情は事前に想定し、覚悟を持ってやる。そうすれば、良い結果が出ると思います。

 なぜなら、賛否両論が巻き起こったときに反響が大きくなるからです。単純に炎上するだけではダメで「おもしろい」「良いよね」というポジティブな意見と「話にならない」というネガティブな意見がぶつかり合ったときに、ヒットは生まれるのだと思います。

阿部:賛否両論がともなう炎上は、様々なことが変わるきっかけにもなりますよね。恐れずにトライすることが大事だと。

きぬた:短期的な利益を追うのではなく「長期的に見れば結果が出る」と信じることも大切です。私が最初に出した看板広告のクリエイティブは、歯槽膿漏の状態の歯と、治療後のきれいな歯の写真を並べたビフォーアフターでした。生々しい写真なので苦情が来ることはわかっていましたし、不安はありましたが見る人にインパクトを残したかったんです。

 実際、苦情はたくさん来ました。ただ、そのクリエイティブをやめた結果、私の顔写真を使ったクリエイティブが誕生したわけです。最悪の事態を想定しておけば、それほどダメージを受けることはありません。

阿部:しっかりと準備をしてから攻めることが大事なんですね。本日は力強いお話を聞かせていただきありがとうございました。

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45081

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