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MarkeZine Day 2024 Spring

良い広告って何だろう? きぬた歯科の事例に学ぶ、話題化だけじゃない広告戦略

 院長の顔写真と鮮やかな色彩が特徴的なきぬた歯科の屋外看板広告。2023年9月のMarkeZine Dayでは、きぬた泰和院長が自身の広告戦略を語り、聴講したマーケターに好評を博した。2024年2月に開催した「MarkeZine Day 2024 Spring」では、聴講者の期待に応えて再びの登壇が決定。今回もアナグラムの阿部圭司氏がモデレーターを務め、20年以上看板広告を出し続けているきぬた院長の経験談を引き出しながら、効果的な広告戦略について語り合った。

箱根駅伝ランナーの胸に覗く派手なロゴ

阿部:前回のセッションが大変好評だったそうで、今回は第二弾です。まずは前回のおさらいから始めましょう。

アナグラム 代表取締役 阿部圭司氏
アナグラム 代表取締役 阿部圭司氏

阿部:きぬた歯科は様々な場所にインパクトのある看板広告を設置しているため、皆さん一度は目にしたことがあると思います。医院は西八王子にありますが、伊勢神宮の参道に看板を出稿するなど、その広告戦略は話題にせざるを得ません。看板マーケティング成功の秘訣として「クリエイティブ」「数」「配置」の三つで見る者に衝撃を与えているというお話でした。

阿部:今回のテーマは「良い広告・悪い広告」です。自費で広告を出し続けてきたきぬた先生が、誰よりも熱く語ることのできるテーマではないでしょうか。まずは私の仮説から共有します。良い広告とは、反響がある広告です。広告をきっかけに話題化したり、来店が増えたりすれば、ビジネスの拡大につながりますよね。悪い広告はその逆で、反響がない広告だと考えます。

 ここからは、きぬた歯科の事例を基に先生のお考えを聞きたいと思います。直近で話題になったきぬた歯科の取り組みと言えば、箱根駅伝におけるスポンサードですね。法政大学陸上競技部のユニフォームスポンサーになり、テレビ中継で注目を集めました。

きぬた:紺色のユニフォームの胸部分に黄色の広告を入れたので、非常に目立ちました。「広告が隠れないように、たすきを右掛けにしてほしい」と頼んだところ、選手たちはほぼ全員そうしてくれました。法政大は近隣に卒業生が多いこともあって、放送後は関係者が来院してくれたんです。

きぬた歯科 院長 きぬた泰和氏
きぬた歯科 院長 きぬた泰和氏

きぬた:私は元々駅伝を見ていませんでしたし、2日間の広告で知名度が上がるとは思えなかったので、最初はスポンサードに興味がなかったんです。でも、実際に選手たちに会ってみると、とてもかっこよかった。箱根駅伝は全国ネットで、毎年30%前後の視聴率が出ます。費用対効果もあると考え、スポンサードすることにしました。

400万円の特注看板をつくった理由

阿部:次の事例は、八王子駅前に設置した温度計付き看板広告です。400万円もの費用を投じて、デジタル表示の温度計を組み込んだオリジナルの看板を特注したそうですね。なぜわざわざそんなことをしたんですか?

きぬた:最初は同じ場所で温度計のない普通の看板を掲示していました。ところがある雪の日に、八王子駅前からのテレビ中継を見て「温度計を置けばテレビに映る」と気付いたんです。実際、今は1回の中継で約20秒間うちの看板が映ります。各局が映してくれるので、看板の波及効果は絶大です。

阿部:八王子と言えば、1月の八王子市長選を勝手に告知した看板も話題になりました。これはなぜ作ったのですか。

きぬた:市長選の投票率が年々下がっていたんです。投票を呼びかける広告を出せば「きぬた歯科は公共性の高いことをやっている」と思ってもらえると考えました。要はイメージ戦略です。朝日新聞も取り上げてくれて、反響は大きかったですね。この広告の効果かはわかりませんが、投票率は前回を7ポイント上回ったそうです。

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45081

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