カスタマージャーニーモデルの問題点
カスタマージャーニーモデルの疑問点を整理しましょう。
- すべての消費者が同じルートを辿っていくという設定に現実味がない
- 「ブランド側の視点で消費者を育てよう」という態度である
- 順番を設定しても、その順番通りにコミュニケーションは進まない
- コミュニケーション戦術(具体的施策)に落ちにくい
企業側の視点で描くカスタマージャーニーは、「こういうプロセスで消費者を購買に導こう」と、一つのルートに導くという思考になります。一方、消費者の視点からみると、ルートは一つではなく、複数になるはずです。すなわち、いくつかの異なるグループごとに、そのブランドが自分ごとになる文脈が存在するのです。
いわゆる消費者パーセプションを先に理解した上で、どのように良い方向にパーセプションチェンジを図れるか。まさにそこがコミュニケーションプランニングの「へそ」になります。ですから、すべての消費者を一本道でゴールまで連れて行く「双六」モデルには大きな疑問が残ります。

購買から逆引きして考える
賢い消費者は、企業側の理屈を直ちに見抜きます。カスタマージャーニーというからには、消費者パーセプションを抽出してから、画を描きましょう。すると、一本のルートではいろいろな消費者を取りこぼしてしまう(文脈の違う複数のターゲットが存在する)ことに気づきます。
ブランド目線で消費者をどうこうしようという発想ではなく、消費者がどうブランドを見ているか、または見えるかを思考しましょう。自ずと「双六」型が現実的でないことがわかります。
では複数のルート(順列)モデルで思考するには、どうすればいいのでしょうか。それは「スタート地点を購買にすること」です。購買から逆引きして考えると、最初から、または途中から、道は分岐するとわかるでしょう。

