順序よりも、パーセプションの組み合わせが重要
しかし、この作業をしてみると、そもそもルートを辿ること自体には、あまり意味がないのでは? ということに行き当たります。
つまりたった一つの順列(順番)に消費者を育成するという発想こそが、企業側の思い上がりなのです。それよりも消費者のパーセプションを受け入れて、どんなパーセプションが組み合わさると購買を意識するのか、そこではどんなパーセプションであればブランドにとって良い方向に変えられるかを探ることが大事なのです。
そもそも順序を設定しても、その順番で個々の消費者へのコミュニケーションを図ることは不可能です。施策が及ばないのではそもそも意味がない、というのが筆者の考えです。
情報を断片的に消費し、連続性を無視する消費者たち
今日では、コンテンツの消費は非常に断片的になってしまいました。タイパを良くすると言って映画を倍速で観たり、音楽はサビだけ聴くなど、まさにコンテンツの虫食い消費です。このようなコンテンツ消費行動が蔓延しているなかで、いちブランドとのコミュニケーションの順番を担保して連絡性を持たせるなど、非現実的としか言えません。消費者は情報を断片ごとに消費し、連続性を無視しているのですから。
だからこそ、組み合わせで考えることが大事なのです。パーセプションの組み合わせは、それぞれのターゲットに向けて、複数存在するのです。また、どんなパーセプションが揃うと「購買意思」を形成しやすくなるかを設定できるということは、コミュニケーションプランニング、つまり具体的な戦術に落とすことにつながります。
カスタマー云々というなら、消費者パーセプションの分析から始める。これが第一歩です。同じように、USP(ユニーク・セリング・プロポジション)発想も変えていく必要がありますので、次回は「USP発想の限界」について言及していきます。
