PR色を出さないためには?他部署との連携の秘訣
次に両者は、オウンドメディア運営時の他部署との連携の重要性についても言及した。
サイボウズ式の編集部には、他部署から製品紹介を目的としたインタビューのような持ち込み企画の相談が来ることも多いという。採用の可否はどのように決め、他部署に伝えているのだろうか。
「私たちは『なぜ今サイボウズ式で発信すべきなのか』というコンテクストを重視しています。そのため、内容によっては『今は記事化できないけれど、もっと最適な文脈で世の中に出せる時が来るかもしれないからその時にまた検討します』とお話しします。一番重要なのはサイボウズが発信したいことではなく、読者の方たちが知りたいことです。サイボウズのPR記事のようになるのは避け、読者ファーストで記事づくりをするというコンセプトをしっかり守るようにしています」(神保氏)
しかし、企業のオウンドメディアが情報発信を行う上で、PR色を出すことなく自社の情報を発信していくのは非常に困難だ。サイボウズ式ではどのようにコントロールしているのか。
「企画を作る際に社内の人間だけで話すと、意図しなくても内容が自社中心になってしまいます。そこで私たちは、社外の専門家への取材を通して意見をいただくなどして、コンテンツに第三者の視点を必ず組み込むように意識しています」(神保氏)
ゴールの共有で「他部署の依頼もマーケティング目線」に
サイボウズ式と同様に、基礎知識シリーズでも他部署から記事化の相談をよく受けると清水氏。有意義な連携のためには、他部署との「ゴールの共有」が非常に大切だと語る。「コンバージョンの獲得」という目的を共有しておくことで、他部署からメディアへの依頼自体もゴールを意識した「マーケティング目線の依頼」になるからだという。
メディアチームではそうした依頼を集約し、部署ごとの部分最適ではなく事業としての全体最適を考えて掲載の可否を判断。採用したコンテンツは要望に応じて広告を出したり、記事コンテンツを出したりと、出し分けを行うという。
「目標への達成率が厳しい部署からの相談が増える傾向があります。対応が可能な場合は、要望に対して納得感を持ってもらえるコンテンツを作れるよう努力しています」(清水氏)