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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2024 Spring

目的で異なるBtoBオウンドメディア運用 サイボウズとマネーフォワードから伸びる運営手法を学ぶ

AI活用にも工夫 制作で意識する「正確性・網羅性・有用性」

 続いて、多くのコンテンツを継続的に制作するための秘訣が紹介された。

 清水氏が紹介したのは、マネーフォワードでの制作体制だ。同社では、記事のテーマ決めは基本的に社内で行うが、制作はパートナー会社と連携しながら行っているという。また最近では、生成AIの活用も行って制作作業を効率化していることもあり、同社では、月に150本近くのコンテンツを公開している

 しかし、AIを活用するからといってやみくもにコンテンツを制作しているわけではないと清水氏。制作時に重視している三つのポイントを解説した。

 一つ目が情報の正確性だ。一般的に、AIによって量産された記事には内容への信憑性、正確性にネガティブなイメージが持たれることも少なくないだろう。同社のコンテンツでは基本的に、テーマとする領域の専門家や有資格者が執筆・監修を行うことで、コンテンツの質を担保している

 二つ目が、情報の網羅性だ。テーマに対してあらゆるトピックをそろえることで、一つの記事で多くの情報を得られるように工夫しているという。

 そして三つ目が、情報の有用性だ。ユーザーのインサイトをしっかりとくみ取り、それらを反映させたコンテンツ作りを行う。こうすることで、結果としてSEO面でも有効に働いていると清水氏は説明した。

 続いて、神保氏もサイボウズ式の制作体制を紹介した。同編集部は、専属のメンバー4人と兼務のメンバー2人の合計6人。基礎知識シリーズと同様に、企画は基本的に編集部が行い、執筆や撮影などは外部パートナーと協力して進めていると神保氏は語った。

 神保氏が運営面での工夫として挙げるのは、「企画を作る際に一人で進めたり悩んだりする状況を作らない仕組み」だ。

 企画作りの段階は一人で悩み、孤独になりがちだという神保氏。そのため、企画のアイデアは同社のクラウドサービス「kintone」を活用して共有し、複数人で膨らませられるように習慣化。加えて毎日10分程度でのMTGも行っているという。

 このように企画作成に工数をかけている同編集部。早ければ2〜3週間でまとまる時も、事前のリサーチに1〜2カ月かかる時もある。取材をしてから1〜2ヶ月後に公開というスケジュールが平均的な流れだ。それでも月に2~4本の記事公開、週に1本の新作ショート動画を目標にコンテンツ作成を継続し、長尺のYouTube動画の投稿も不定期で行っているという。

AIをコンテンツ作りにどう活かす?目的別の使い分け

 先述のようにコンテンツの質を担保しながらもAIをコンテンツ作りに積極的に取り入れている基礎知識シリーズ。清水氏は、自身が考えるオウンドメディアにおけるAIとの付き合い方について次のように語った。

「AIはコンテンツを作成する上で非常に強力な武器になるため、メディアを運営する際には活用すべきものだと思います。しかし、だからといってAIだけに頼ってはいけません。今後AIを活用していく上では、必ずプロや専門家の力を借りてコンテンツの質を担保することはやはり忘れてはいけないポイントだと考えています」(清水氏)

 AI活用の重要性については、神保氏も同様の考え方を持っており、現在、簡単なスケジュールやタスク管理などには導入をし始めているという。だが同時にサイボウズ式では、AIの活用がされていない部分も多い。その理由について神保氏は次のように説明した。

「サイボウズ式は、当社のブランディングを目的としたメディアです。ブランディングの視点で活用するには、理想とするブランドの姿や根底にあるその企業らしさといった言語化しにくい部分をAIに伝えて学習させていく必要がありますし、実用に堪えるレベルとなるのは少し先の話だと考えています。現状では、自分たちで考えた方が精度の高い企画になりますし、企画者の想いがこもった企画ができます。こういった理由からサイボウズ式では、人間が考えるためのリソースを割けるように他の業務を手伝ってもらうためのツールだと考えて向き合っています」(神保氏)

 最後に、両者は次のように展望を語ってセッションを締めくくった。

「ブランディングの活動において、オウンドメディアの運営は非常におもしろい分野です。記事に限らず、動画やSNSのコンテンツ発信も設計次第では今以上に魅力的にできると考えています。今後、他の企業のオウンドメディアともつながりながら、よりおもしろいコンテンツ作りができるように挑戦していきたいと思います」(神保氏)

「リードの獲得といった文脈でもオウンドメディアはまだまだ可能性があると思っています。今後もより多くの方にとって役立つ情報を届けられるようにメディアの運営に励んでいきたいと思います」(清水氏)

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/05/31 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45210

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