ライブコマースの魅力は衝動を駆り立てるリアルタイム性
廣澤:SNSを活用したファンとのコミュニケーション、ECなどの選択肢がある中で、ライブコマースならではの特長はなんだと思いますか。
ももち:一番の特長はリアルタイム性の高さです。通常動画を配信するには、撮影と編集を含めて2~3日かかりますが、ライブコマースならすぐに商品を紹介することができます。
また動画の場合、編集でテロップやカットを付けることで商品をより良く見せることができますが、その分嘘にもつながりやすい。ライブコマースだと商品をありのままに紹介できますし、視聴者からの質問もすぐに答えられるので、信頼性が担保できます。これらが他の手法とは異なる特長だと思います。

廣澤:リアルタイム性の高さが視聴者とのインタラクションを生むとのお話でしたが、リアルタイム性の高さがもたらす他のメリットはありますか。
ももち:リアルタイム性の良いところは、人の中にある衝動を駆り立てられることだと思っています。テレビの通販番組もそうですが、見ててなんとなく良いと思ったら買ってしまう人がいるから成立するんですよね。
ライブコマースの場合、配信中に「買えました!」と購入報告するコメントが集まることも多く、「周りも買ってるし買っちゃおうかな」と購入意欲がついつい上がっちゃうんです。私も友だちの購入報告やSNSの投稿で買ってるのを知って買うことがありますが、それがライブコマースではリアルタイムに起こりやすいと思っています。
また、遠隔の接客だから質問しやすいというメリットもあります。実店舗だと店員さんに聞きにくい人はいると思いますし、「ウエストが入るか気になる」といった質問はしにくいじゃないですか。でも普段見ているSNSならリラックスした状態で質問できます。
ラフな状態でリアルタイムに買い物を楽しんでもらえて、周りも巻き込みながら購入を促せるのがライブコマースの強みです。
廣澤:SNSという場で、配信者だけでなく他の視聴者のリアクションなどのコミュニケーションがオープンな状態で生じ、リアルタイム性の高さも相まって、ライブコマーサーや視聴者のインタラクションが活発になってくる。これが他のサービスとは異なる強みになっているんですね。
リアル回帰が進んでもライブコマースは伸びる。その理由は?
廣澤:ライブコマースは日本ではまだまだ商業的な規模という面では広がっていないようにも思います。ただ、コロナ禍で実店舗への来店が難しくなり、ライブコマースを含めたライブ配信に企業の注目が集まりました。そして現在はリアル回帰も進んでいる中で、ももちさんは現在のライブコマースの動向をどのように捉えていますか。

ももち:現在ライブコマースが特に盛り上がっているのが中国です。中国ではライブコマースが主要な購入手段として浸透しています。その裏には割引によるお得さはもちろん、元々中国の実店舗が多くないことや配送や返品の仕組みが整っていることがライブコマース市場の伸長を支えています。
日本でも配送の仕組みや配信プラットフォームが整えば、ライブコマースの浸透は進むと思っています。日本人は接客で押し売りされるのを嫌う人も多いので、自宅で気になることを質問しながら解消できるライブコマースは合っていると思うんです。
TikTokやInstagramのライブ配信を視聴する時間は確実に増えていると思うので、そのようなプラットフォームでライブコマースができるようになると、国内市場も大きくなると思います。
