通販返品率1%!加茂繊維の顧客との関係作り
「商品・サービス部門賞」に選ばれた加茂繊維からは、取締役会長の角野充俊(かどの・みつとし)氏が登壇。同社は、岩盤浴の鉱石を繊維にして作られる体温を保つ肌着「“着る岩盤浴”BSファイン」の開発・販売を手掛けている。原材料となる鉱石の採掘権を獲得するなどメーカーとしてこだわりを持って事業を続けているだけではなく、通販での返品率は1%にとどまるという。
角野氏は「通販だからこそ、商品の本当の強みを丁寧に伝える点を徹底しており、現在はメルマガ経由での売り上げも非常に増えている」と話す。また返品率を低く抑えられている要因として、値引きなどによる短期的な成果ではなく、ユーザーとの関係性を作ることを重視。ユーザー間での口コミが広がり、事業規模の拡大につながっていることも挙げた。
同社には、顧客アンケートの回答が1日100通ほども寄せられる。この顧客の声は、そのまま商品の開発に活かすのではなく、まず課題を見極めるために活用。「顧客の想像を上回るものを作り出すことを大切にしている」と角野氏は語った。

「一貫性」「顧客の声を聞くこと」を重視し、ブランド成長につなげた犬猫生活
「ブランド部門賞」を受賞した犬猫生活は、ペット関連商品の企画・製造・販売を行う企業だ。また、犬や猫の殺処分ゼロを目指す財団を設立して日本全国にシェルターを設置し、利益の20%を活動資⾦に充てている。
登壇した代表取締役の佐藤淳氏は「ブランドは一つの取り組みだけではなく、総合的に評価されるもの」だと話す。同社は理念として「SAVE ALL CATS&DOGS」「すべての動物とその家族の幸せな生活のために」と掲げている。顧客対応・商品開発・PRなどもすべて理念に基づいて実行した結果、ブランド確立につながっていったのだ。
競合他社に負けないブランド成長の秘訣について問われると、佐藤氏は理念に基づく「一貫性」と、カスタマーサポートをはじめとする「顧客の声を聞くこと」の2つを挙げた。特に「一貫性」については、施策などに落とし込むことはもちろん、社員への理念の共有も重点的に取り組んでいる。「採用の時から気を付けている」と佐藤氏は話し、財団など非営利の活動も含めて、共感してくれるメンバーが集まっているそうだ。
「なんとなくミッションを掲げているだけでは、商品やパンフレット、顧客対応、カスタマーサポートなど様々な接点を通じて、形式上のものだとお客様には伝わってしまうものです」(佐藤氏)