専門的な商材ほど自社メディアでの発信が必要
講演は月岡氏、佐藤氏の自己紹介からスタート。Faber Companyは、コンテンツマーケティング・オウンドメディア運営を支援するSEOツール「ミエルカSEO」、ヒートマップ分析ツール「ミエルカヒートマップ」などの「ツール」を提供しながら、業務委託マッチングサービス「ミエルカコネクト」ではデジタルマーケティング人材に関する支援も行っている。執行役員の月岡氏は、マーケティング領域だけでなく、「ミエルカSEO」のプロダクトオーナーとしてプロダクト開発にも管掌している。
GAXマーケティング代表取締役の佐藤岳氏は、2000年から長きにわたり事業会社と支援会社の両方で営業とBtoBマーケティングに従事。デジタルマーケティングはもちろん、展示会やセミナー、電話営業など、BtoBビジネスのあらゆる領域に関するプロだ。
セッションの冒頭、月岡氏はBtoBコンテンツの現状を以下のように整理した。
「MarkeZineとデジタルインファクトの調査によると、多くのBtoB企業が2023年よりもSEOとコンテンツマーケティングの予算割合を増やしており、BtoBにおけるコンテンツの重要性が高まっていることがわかります。特に扱う商材が専門的であればあるほど、それを扱うような一般メディアはほとんど存在しない。つまり、その企業が自分たちで発信しなければ、見込顧客が商材やそれにまつわるノウハウなどの情報を得る機会がないのです」(月岡氏)
コンテンツは資産。うまく運用すれば大きな成果に
BtoB企業は比較的案件あたりの単価が大きく、意思決定までにかかる期間は長い。さらにその分、意思決定に関わる人数も多い。また、意思決定にたどり着くまでに様々な形で情報探索が行われるため、その中で自社コンテンツがリーチできると、意思決定に影響を及ぼすことができる可能性が高い。
そのためBtoB企業にとって、自社コンテンツを作り、発信していく重要性や投資対効果は高いと月岡氏は考える。
佐藤氏も「コンテンツはリードを生み出す重要な資産」ととらえ、コンテンツを“資産運用”していくことの重要性を述べた。さらに月岡氏が続ける。
「同じ企画のコンテンツをWebコンテンツとYouTubeで配信しても、それぞれの接点でリーチする人はほとんど重なりません。つまり、良いコンテンツがあれば(あらゆるチャネルに展開できるため)一石二鳥にも三鳥にも四鳥にもなるのです」(月岡氏)
とはいえ、BtoB企業のコンテンツマーケティングとSEOには様々な課題があるのも事実だ。佐藤氏はその課題について以下のように語った。
「Web検索をすると、買い手が知りたいことが十分にまとまっていない、もしくは検索上位表示されるページがほとんど同じ内容になっており、その確からしさに疑問を感じるケースがあります。皆さんも情報収集している過程でこうした疑問を感じる場面はあるのではないでしょうか」(佐藤氏)
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買い手が売り手と接触する時間は、購買全体のわずか17%
コロナ禍はあらゆる領域のデジタル化を加速させたが、デジタル化によってBtoB顧客の購買行動や購買プロセスも大きく変わった。佐藤氏はCEBのMLC Customer Purchase Research Survey(2011)のレポートを引用し、どのような変化が起きているかを紹介した。
同調査によれば、BtoB企業の担当者が導入を決めた瞬間を100%とすると、買い手はプロセスの57%が完了したタイミングで、営業担当者に真剣にコンタクトしているという。つまりBtoB企業の担当者は、自社の課題に気づいた段階でまず自ら解決策を探して学習をする。佐藤氏は「このような買い手には売り込むよりも、支援することが重要だ」と主張する。
「ガートナー社の調査では、買い手の購買活動における時間配分を集計し分析しています。興味深いのは、45%は情報収集、22%が社内でのミーティングに充てられており、実際に売り手と接触する時間は全体の17%しかないことです。買い手自身が情報を集め、検討してから接触していることが裏付けられています」(佐藤氏)
昨今、営業担当者が売れる仕組みを作り、能力と成果を向上する「セールス・イネーブルメント」が注目されている。しかし、佐藤氏は買い手が買いやすいように支援する「バイヤー・イネーブルメント」の考え方も求められていると主張した。
コンテンツ制作に欠かせないのは「買い手の行動を知ること」
ここから佐藤氏より、買い手の購買を支援するためのコンテンツ制作のプロセスが紹介された。
買い手は、自社の製品・サービスをどのようなプロセスを経て購入しているのか。これを買い手自身から確認していくことからスタートする。確認方法として一番行いやすいのが「デプスインタビュー」という手法である。
「お客様(買い手)に質問票をお送りした上で、インタビューを行います。すると、自分たちが知らないような、お客様が自社に接点を持つまでにしていた行動が赤裸々に見えてきます」(佐藤氏)
デプスインタビューを通じて得られた情報をもとに営業担当者とディスカッションを実施し、カスタマージャーニーを作成することで、顧客像がより明確になる。このように、顧客の情報ニーズや行動を把握した上でコンテンツを作ることで、顧客の情報収集プロセスに入り込むことができるのだ。
2ヵ月で1位を獲得!事例で学ぶコンテンツの作り方
では、買い手の情報ニーズに合致したコンテンツを作っていくためには、どのような工夫が必要なのだろうか。佐藤氏は自社が取り組んだ「導入事例」という対策キーワードを狙ったSEOコンテンツの制作事例とともに、コンテンツ企画・制作の秘訣を紹介した。
佐藤氏によるとコンテンツの企画・制作は「検索意図の確認」「コンテンツ企画」「コンテンツ制作」の順に行っていくべきだという。
まず、「検索意図の確認」については、キーワード「導入事例」の検索ボリュームや検索窓に特定のキーワードを入れたときに表示されるサジェストキーワードの確認から行った。具体的には「ミエルカSEO」を活用し、サジェストキーワードごとの検索数をチェックしていったという。
「『導入事例』単体だと月間で2,133の検索数がありました。また、『導入事例 デザイン』『導入事例 テンプレート』『導入事例 インタビュー』などのキーワードでの検索も一定数見受けられました」(佐藤氏)
また、月岡氏は「『ミエルカSEO』には検索意図を視覚化しやすい機能が備わっている」と補足した。
「『ミエルカSEO』には、検索意図を視覚的に分析するツールが搭載されています。検索キーワードごとに円を表示するようになっており、円が大きければ大きいほど検索数が多く、円同士の距離はニーズの近さを表しています。近くに表示されているキーワードは検索意図が近いということです。『導入事例』のサジェストキーワードでは、「作り方や書き方、テンプレートが知りたい」など4つの検索意図が見えてきました」(月岡氏)
続いて佐藤氏は検索上位に表示されているコンテンツのトップ10を洗い出し、その内容を調査した。「導入事例 テンプレート」での検索結果トップ10の内容を見て、導入事例を作ろうとしているマーケターに必要なことが書かれているかどうか吟味する。
「自社のコンテンツでは、既存のコンテンツに足りない内容とキーワードを加えていきました。タイトルには、『導入事例の作り方』『無料テンプレート』など、サジェストキーワードを取り入れながら、独自性のあるフレーズを入れました」(佐藤氏)
このようなプロセスで2022年8月17日に公開した記事(タイトル「受注を呼び込む導入事例の作り方【無料テンプレート公開中】」)は、1ヵ月半後に「導入事例 デザイン」というキーワードで4位を獲得。「導入事例 テンプレート」というキーワードでは、2ヵ月で1位表示させることに成功したという。
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SEOでは画像も重要な要素に
公開から1位になるまでの間は、広告などのプロモーションは行っていない。アップしただけでこの結果につながったという。半年後には、さらに変化が起こった。2023年2月に突然、「導入事例」という単一キーワードで検索順位が6~7位まで浮上してきたのだ。
「導入事例」の単一キーワードでも検索順位がつき始めたことを察知した佐藤氏は、コンテンツの内容をさらに追加した。そしてついに、同年4月29日に「導入事例」で1位を獲得した。取り組みのポイントを佐藤氏はこのように整理する。
「対象としたキーワードで検索順位がつき始めたら、さらに検索意図の網羅性を高めるなど内容をリッチ化していくことで、安定的に1位が出るようになりました」(佐藤氏)
しかし同じコンテンツで、佐藤氏は一度大幅な検索順位のダウンも経験している。2023年12月に、キービジュアルを生成AIで作った画像に変更。すると、検索順位が落ちてしまったという。その原因を月岡氏が分析する。
「生成AIの画像が良くないというよりも、あまりコンテンツと関係のない画像と見なされたのでしょう。また、Web上に転がっているフリー画像で画像検索すると、それを使っているサイトが大量に出てきます。それをオリジナリティの低さとして認識することはできると思われますし、実際フリー画像からオリジナル画像に変更したことで検索順位が上昇した事例もあります」(月岡氏)
月岡氏はこの原因を踏まえ「ユーザー理解を助けるオリジナル画像を作ったほうが絶対効果が良い」と伝えた。佐藤氏は本件について月岡氏にも相談していて、画像をもとに戻したところ、ほどなくして検索順位も1位に返り咲いたそうだ。
コンバージョンまでつながるコンテンツの事例
次に佐藤氏は、GAXマーケティングが支援するクライアントのSEOに関する事例を紹介した。
情報セキュリティ領域のクライアントのケースでは、1記事あたり5,000字ほどで16記事を公開。公開翌月から、自然検索流入のトラフィックが上昇。自然検索のセッション数は20倍となった。SEO成果だけではなく、それ以外の効果も導くことができたという。
「このお客様は、コンテンツの内容をそのままメールでも配信しています。メールタイトルは記事タイトルで、本文をそのまま貼り付けて読める形です。そのメールの開封率は50%、メールから案件が発生することもあると聞いています」(佐藤氏)
また、「中途採用」領域の強化を行った人事部向けメディアでも、半年間でリード獲得数10倍、Webからの獲得リードはほぼ100%案件化した事例があったと話す。
佐藤氏と月岡氏は最後にSEOとコンテンツマーケティングに必要なポイントをまとめ、セッションを終えた。
「買い手の購買を支援する情報提供をしていきましょう。ポイントは、売り手の知見を余すところなく発信して、買い手の学習を支援していくこと。それによりおのずと検索上位に自社コンテンツが露出していくようになり、より確度の高い買い手からのリードが獲得できると思います」(佐藤氏)
「サイト分析を1~2人のマーケターで行われている企業も多いと思います。リソースが限られる中で、買い手のニーズを確認するためのツールとして『ミエルカSEO』が役立ちます。ユーザーニーズ分析、サイト分析の効率化機能も併せ持っており、カスタマーサクセスが伴走するサポートも付帯しています。ぜひ『ミエルカSEO』を活用いただき、効率的にコンテンツマーケティング・SEOを進めていただきたいと思います」(月岡氏)
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