そのコンテンツが好きなスタッフがコラボで活躍
――なぜ、早い時間・女性がキーワードになったのでしょうか?
土屋:我々は深夜帯の営業を得意にしていたので、コロナが明けても急激な回復は難しいと考えていました。その分をどこで補うかを考えたときに、遊休時間である昼間や夕方までの時間帯の集客に注力するという結論になりました。となると、今までハブに来たことがない、もしくは知らなかった方にどうアプローチするか?が課題になります。
奥山:ミクシィで保有しているIPを掘り返す中で、熱心な女性ファンが多いプロメアとコラボしてみたら、新しい化学反応が起きるのではないかと考えたのです。
――IPを掘り返していたのとことですが、奥山さんの中ではハブでのIP活用を既に考えていたのでしょうか?
奥山:はい。私たちが支援できることの1つが当社の技術やサービスを使った送客だと思います。店舗のピークタイムより早い時間帯に開始される競馬や競輪や、当社が保持するIPとのコラボは施策として有効なのではないかと考えました。
特に、アニメのコラボカフェが人気を博していますので、HUBでも可能性があるのではないかと思ったんです。プロメアは当時、私たちの部署が管理をしていたので扱いやすかったという背景もあります。また、1回目のコラボは2022年だったのですが、ちょうどプロメア3周年の復活上映が行われ、かつ人流が戻ってきていたのでタイミング的にも良かったかと思います。
――IPコラボは企業側が作品の世界観をどれだけ理解するかも重要かと思います。この点はどのように対応したのでしょうか?
土屋:実はメニュー開発を担当している部署にプロメアのファンがいたんです。かなり深い部分まで作品の意味を考え、商品に反映してくれました。お客様にも熱意が伝わったのではないかと思います。

また、初めての取り組みを絶対成功させたいと、自主的に作品について学んでくれたスタッフも多かったですね。ファンの方に刺さるようなワードで接客をするなど、チャレンジをしてくれたことでお客様の満足につながったのではないかと思います。
ミクシィさんとコラボを始めてから、スポーツ・IPに関係なく「実は〇〇が好きで詳しいんです」と言ってくれるスタッフが出てきました。コラボをやるよという話をすると、そのジャンルや作品が好きなスタッフから「うち(の店舗)でやりたい」と手が挙がるようになったんですね。こことコラボしたいとコンテンツを指名するケースもあるほどです。
私はコラボを行う場合、いつやるか・どの店舗で行うかが重要だと考えていました。話題になるタイミングやお客様の導線にあるお店が大事だという視点です。ですが、取り組みを始めてからは、コラボは誰がやるかも重要だと気づかされました。当社の場合は店長の熱量が高いときはお客様からも良い評価をいただきます。
奥山:プロメア4周年の際もコラボをしたのですが、これはハブさんから企画をしていただいたものです。周年としてはキリが良いわけではないので、スキップかなと思っていましたが、無事に開催できたので良かったです。
馬名カクテルの売上は3万杯!来店者同士のコミュニケーションも
――コラボの成功体験からスタッフの方々の姿勢が積極的になり、好循環が生まれているのですね。ちなみに、売上や新規顧客開拓などの成果はいかがですか?
土屋:HUBはレジで商品を注文して受け取るキャッシュオンデリバリー形式なので、客数ではなく注文数を見ています。過去のキャンペーン実績からある程度の目標値を算出していますが、コラボ企画は常に目標を上回る結果が出ています。特にプロメア3周年コラボの際は6店舗34日間の開催で、コラボドリンク1万6,000杯の注文がありました。これは今までにないものです。
ユーザー層についても、プロメアコラボで来店されたお客様の8~9割は女性でした。さらに、新規のお客様にもリピートしていただけています。
奥山:リピート率や顧客属性は会員カードの使用データに基づいています。体感値ではなく、事実としてリピートにつながっている点が非常に良いですね。
――スポーツ軸のコラボではいかがですか?
土屋:たとえば、ミクシィのグループ会社が運営している競馬総合サイト「netkeiba.com」さんとのコラボを既に複数回開催しています。春と秋のG1に合わせているのですが、現在20店舗でコラボを実施しており、回を追うごとに実施店舗も集客も増えています。
2023年秋のコラボでは、イクイノックスなど競走馬をイメージしたコラボカクテルを販売し、3万杯の売上になりました。レースがない日にカクテルを飲みに来てくださるお客様もいらっしゃいました。

コラボをして気づいたことが、IPでもスポーツでも盛り上がりはまったく一緒だということです。先ほど申し上げたとおり、HUBはリアルコミュニケーションの場で、みんなで盛り上がる楽しさも大切にしています。コラボの時間帯は共通の好きなものや趣味を持っている方が集まるので、隣の席の方と自然にコミュニケーションが生まれています。
パブは本来社交場であり老若男女問わずみんなが交流できる場ですから、我々がやりたいことができている状況です。