ときには自ら企画しメディアへ持ち込むことも重要
続いてマネーフォワードの成末氏が力を入れているリード獲得施策として挙げたのは、「メディアへ企画を持ち込んだ独自イベントの共同開催」だ。
「ターゲットレンジが狭い中堅以上の経理部向けに商材を販売するときは、国内で提供されている広告メニューだけではなかなか成長が描けないと感じています。そこで当社は独自の企画を作り、メディアさんに自ら持ち込み、スポンサードイベントを共催するといったことを行っています」(成末氏)
この説明を聞いた日商エレクトロニクス近藤氏は「当社もメディアさんから企画をもらうことはありますが、いまいちフィットしないと感じることが多いです。マネーフォワードさんの手法は参考になります」と興味深そうに反応。
才流の栗原氏も両名の話に続けて、メディアに企画を持ち込むことの重要性を語った。
「私も2022年に本を出したのですが、自分で企画をメディアさんに持ち込みました。持ち込み企画を歓迎しているメディアさんは多いと感じます。『このような読者ニーズが今後増えると思います。ぜひ連載をやりましょう』といった話から書籍化につながるケースもあるので、汎用性が高い手法だと思います」(栗原氏)
リード獲得から受注までのコミュニケーションは?
本セッションのテーマである「売上に貢献できるBtoBマーケター」を目指す際、気になるのがリード獲得後から受注までのコミュニケーションだろう。今回マネーフォワードの成末氏が大切にしていると挙げたのが「検討段階に応じて、テーマの深さを調整すること」だ。
「たとえば経理財務部門向けの商材の場合、多くの担当者が気になる法制度についてわかりやすく解説する書籍を制作し贈呈します。それを接点として、興味転換のステップでは、課題を感じているお客様向けにセミナーを開催しています。その際は当社の経理責任者をプレゼンターとして、お客様と同じ経理という立場でお話します。売り込みはしません」(成末氏)
最終段階の商談転換では、業務課題の整理や改善を議論するワークショップを開催するなど、マネーフォワードは顧客の検討段階に合わせて営業活動につながる様々な施策を展開している。

一方日商エレクトロニクス近藤氏が挙げたのは「デジタルなつながりから徐々に人的なつながりへ変えて、日商エレクトロニクスを選ぶ理由と関係を構築すること」だ。
「最初の認知・接点作りおよび興味転換においては『ライトタイミング・ライトパーソン・ライトコンテンツ』を実現するためにデジタルな手法を使っていますが、商談転換ではハンズオンや具体的な運用に関するワークショップへの参加をうながしています。そのような場に来ていただいて、エンジニアやマーケティングとの人的コネクションをしっかり作っていただき、継続的な会話ができるようにしています」(近藤氏)

また、同社の特徴的な点として、マーケティングチームと営業チームのKPIにある。同社では、売上目標を共通のKPIとし、リード獲得移行も営業が案件を具現化するところまでマーケターが支援するという。
栗原氏は「お二方のお話を聞いて、成果を出しているBtoBマーケターは、認知・接点作りだけでなく、興味転換や商談転換までマーケターとしてしっかり対応していると改めて感じました」と述べ、「本日の話がBtoBマーケターの方々の参考になれば幸いです。ご清聴ありがとうございました」とセッションを纏めた。