高齢層には「納豆」「牛乳」での訴求が有効か
前述の通り、「風邪などの感染症予防・免疫力改善」市場は今後関心の低下とともに縮小していく可能性があります。生活者の対処について、分析2の年代別により詳細に把握する方法で、市場維持・拡大のヒントを探ってみましょう。
前述の通り、免疫力向上のために摂取される食品・飲料としては、「納豆」「乳酸菌飲料」「ヨーグルト」「牛乳」「緑茶・日本茶」が特に人気です。発酵食品や緑茶に含まれる成分が免疫力向上に役立つという認識が広まっています。これらの食品における年代別の利用割合を見てみましょう。
「納豆」「ヨーグルト」「牛乳」「緑茶・日本茶」は、特に高齢者の間で意識的に摂取される割合が高く、特に60代・70代では「納豆」の摂取が顕著です。一方で、40代・50代では「牛乳」の摂取率は低いものの、「乳酸菌飲料」の摂取率が高くなっており、効果や機能性を重視する傾向が見られます。60代以上の比較的高齢層に対しては納豆や牛乳といった食材での訴求が有効である可能性があります。

「不眠・ストレス対策」とからめた免疫訴求の可能性
各ヘルスベネフィット別に、利用した商品・サービスカテゴリ別の分析も可能です。「風邪などの感染症予防・免疫力改善」ヘルスケアベネフィットの対処方法を見ると、「生鮮食品」が最も多く利用されており、次に「一般食品」、「スポーツ用品・サービス」が続きます。普段の食事を通じて免疫力を高めようと考える人が多いようです。2019年と比較して、「一般食品」の市場は対2019年比で175%と顕著に伸びており、前述の通り、免疫力改善効果への関心の増加が影響していると考えられます。

2023年の「風邪などの感染症予防・免疫力改善」の年代別対処方法(割合)を年代別に見てみましょう。20代のトップ5対処方法には他の年代ではTOP5に入らない「睡眠・仮眠/睡眠用具・グッズ」が3位となっています。睡眠計測アプリ、睡眠時用のフレグランスアイテムや、暖かい耳栓を使用した「耳温活」なるものもあると聞いたことがあります。免疫力向上の対策として、睡眠の質の向上を期待できるアイテムへの関心が高まっているようです。
免疫と睡眠を結びつけて考えることで市場のアプローチの方法が広がるのではないでしょうか。

まとめ
今回2つの分析を行ってみました。1つ目のコロナ禍におけるセルフヘルスケアのトレンドからは、以下2点の実態が見てとれました。
1.「風邪などの感染症予防・免疫力改善」は社会的・経済的変化がもたらす関心の増大が市場拡大につながった
2. 「不眠・ストレス対策」はすでに存在していた関心に商品が答えることで市場が拡大した
また2つ目の「免疫」市場分析からは、ヘルスケア消費全体の傾向を、生活者のライフステージによって分析することで、新しい商品やサービスのヒントが得られました。
引き続きヘルスケア市場は大きく動いていくと考えられますが、このように生活者データを活用し、市場の動きの背景を理解し、市場活性化のヒントを得ていただけると幸いです。
