「LTVの高さ=ブランドへの好意度」ではないという気づき
━━昨今では、ブランド成長の指標として顧客のロイヤルティが重要視されています。貴社としては顧客のロイヤルティの高さをどのように測っていますか。既存の顧客と接する機会や顧客からの意見を得るために、どのような取り組みをされていますか。
定量的な指標としてLTVの計測はもちろん行っています。ただ、「LTVの高さ=ブランドへの好意度」とは考えておらず、それぞれ別の指標として見るべきだと思っています。

『GREEN SPOON』の定期購入では、配達頻度を最短2週間にでき、その配達個数は28個が最大の設定になっています。しかし、そのような購入を行うLTVの高いお客様が、必ずしもブランドの好意度が一番高いというわけではありません。「ブランドはあまり気にしておらず、機能的にちょうど良いから沢山買っている」という人もいるためです。あくまで極端なたとえですが、この場合はブランドスイッチの可能性が高いともいえるでしょう。
一方で、購買頻度は高くなく、時々スキップや購買停止もするけれど、長くお付き合いいただいて、『GREEN SPOON』のパッケージや世界観が好きだと言ってくださるお客様もいます。これはN1インタビューを通して気づいたことのひとつです。どのようなお客様がいるのか、しっかりと把握しておくことの重要性を実感しました。

ブランド好意度が高いお客様が多くいる未来を作りたいと思うのはブランドとして当然ですが、そういったお客様を増やすためには現状を把握し、多様なお客様の線引とそれぞれにとってより良い接し方を見極めなければなりません。現在はそのためにインタビューやアンケートを繰り返して情報を収集し続け、私たちが言語化を行っている状況です。
自社のビジョンがお客様に届く取り組みを続ける
━━メーカーと小売の顔を併せ持つ貴社が、今後取り組みたいチャレンジをお聞かせください。
「自分を好きでいつづけられる人生」を増やすことは創業当初から変わらない想いです。そこをベースにしていくと、Webだけではない販売チャネル、特にオフラインへと出ていくことは自然な意思決定となります。
ただ、お客様が私たちの目指している未来や、私たちの在り方を感じられないと、「『GREEN SPOON』ってなんかいいよね」とは思っていただけません。そうなると、事業としても成長していかないですし、ビジョンも叶えられない。そうした意志を込めることは前提として、より積極的にチャネルを多角化させていきたいと考えています。
もう一つは、先述のロイヤルティの観点です。より『GREEN SPOON』を好きでいてくださる人が多い未来を作るために、販売には直接関わりのない施策でも、私たちの声やビジョンがきちんと届く取り組みをしていきたい。それらは今後の大きなチャレンジとして捉えています。