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「北欧、暮らしの道具店」成長の背景にある、ブランド育成に対する考え方とKPIの捉え方とは?

“変化を抱擁する”ことがLTV向上にも寄与する

 「北欧、暮らしの道具店」流ブランドの育て方の1つ目のポイントは、「変化を抱擁する」ことだ。2007年9月に生まれ、17年目を迎えた「北欧、暮らしの道具店」は、雑貨カテゴリーから始まり、食品、アパレル、コスメ、インナーウェア、最近ではスキンケアの展開もしている。

 幅広いカテゴリー展開は事前に計画したのではなく、その時、その時のニーズを捉えながら、サステナブルな事業運営をすることを考えた結果だという。

 「『北欧』や『道具店』という名前にこだわってアイデンティティを定義し続けていたら、この展開はなかったかもしれません」(高山氏)

 SNSという外部環境の変化も大きい。クラシコムは2012年に「北欧、暮らしの道具店」のFacebookページを立ち上げ、14年にInstagram、17年にポッドキャスト、18年にLINEアカウントとYouTubeチャンネル、19年に公式アプリ、20年に音楽プレイリストを制作した。時代によってチャネルごとの売上貢献比率が変動していく中で、今後の事業成長を支えるチャネルは何か、常に問い続けているという。

 「Instagramは14~16年頃に、売上貢献度の高いチャネルでした。しかし今は、アプリにシフトしています。YouTubeは認知媒体として機能しています。しかし、これらSNSの役割は今後も変わっていくと思っています」(高山氏)

 顧客層の変化もある。初期からの顧客が年齢を重ねた一方で、YouTubeをきっかけにファン化した若い世代も増加し、年齢層が幅広くなっている。同社としては顧客層の絞り込みや若返りは考えておらず、「幅広いお客様から多様な理由で選ばれ続ける」状態を目指すという。

 「お客様が、『自分はずっとこのお店のお客さんでいいんだ』と思えることを大切にしています。たとえばコアターゲットを定めてコミュニケーションを取る場合、そこに該当しないお客様は『自分はもうお客さんではない、卒業だな』と考え離脱されるでしょう。そうではなく、価値観でつながっている方々から、年を重ねてもお客様でい続けたいと思われるブランドを目指しています。それが結果的にLTVの向上にもつながっていくと考えています」(高山氏)

 顧客の入れ替えをせずにブランドが拡張していくと、複利の力も働く。新カテゴリーを展開する際にも、既に顧客がいるため新規獲得コストが抑えられる。また、顧客データも一元化して蓄積できるため、顧客ニーズに対する解像度も高まる。当然、顧客にとってのベネフィットも大きくなる。

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ブランドを育てる上での組織カルチャーとKPIの考え方

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/08 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45773

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