講演中に返せなかった質問にお答えします
本セミナーではたくさんのご質問をいただきましたが、時間の関係でお答えできなかったものも多くありました。頂戴した質問の中からいくつか高山さんにご回答いただきましたので、ご紹介します。
Q.売上と直接連動しないマーケティングチャネルをどう解釈、評価しているのか知りたいです。
A.売上と直接連動しないチャネルにおいては「つながり続ける、コミュニケーションし続ける」ことを目的として運用しています。温泉地でたとえるなら、心地いい温泉(クラシコムの場合、世界観)に浸るために、その温泉地に辿り着くための交通路(クラシコムの場合、チャネル)です。
そう考えると一定の交通量があり、温泉に入ってもらえる人がいる限り運営し続けています。もちろん、どこまでリソースをかけるかどうかはその交通量次第でもあります。
Q.社内に対してはSNSに取り組む意義をどのように浸透させていますか?
A.SNSに取り組む意義は、チャネルの開拓や運用、成長は弊社のビジネスモデルとして重要であると社員にも伝えています。マーケティングの4PにおけるPromotionを自分たちで一定コントロールできるようになるためにも自社アカウントは重要です。
また、各SNSアカウントの状況を担当者から経営陣に共有・ディスカッションするミーティングを月に1回設けています。そのような機会を通して、担当者自身も会社がSNSの状況や変化を経営イシューとして重要視していることを実感していると思います。
Q.幅広いターゲットを設けるとデザインがぼやけてしまい、結果、届けたい方に届かないというリスクもあると思います。「誰に」という尖らせ方をディレクションメンバーにどう言語化できるように育成していますか?
A.こういう尖らせ方をしようという言語化はしていないです。その代わり「こういう尖らせ方はしないでおこう」という、ディレクションにおけるNGゾーンを言語化したり明確に定義したりしています。
なので、ディレクションのあり方も「尖らせる」よりも「丸める」ことのほうが多いと思います。もちろん、尖らせたほうがより早く広く届くことはあると思うのですが、そういったコミュニケーションは長続きしないのではないでしょうか。
送り手と受け手の双方で消費してしまってまた別の尖らせを求めてしまう。そうではなく、長く深く届くためのディレクションを大切にしています。
Q.取り組みをやめるタイミングの見極めは難しいと思うのですが、具体的にどれくらい試したら「やめるチャレンジ」をしてみるといった目安はありますか?
A.期間的には、まず3ヶ月ほど試行錯誤してみることをひとつの目安にしています。そして、そこで結果が出なかったらやめてみる。でもそれで完全に終わりではなくて、頃合いを見てまた3ヶ月ほどやってみる。そういった運用もよくやっています。
避けたいのはダラダラ続けることで、期間限定で集中的に試してみるモードを作ることが重要だと思います。
Q.KPIは達成するためではなく現状を正しく認識するためとおっしゃっていましたが、KPIが達成できなかったときに、どのように評価されているのでしょうか?
A.KPIが達成できなかったときに個人の報酬がマイナスになることは一切ありません。
数値的な指標を定点観察している中で、下がったときの担当者の対応過程にはもちろん目を向けます。でもそれは、頑張って数値を持ち直すためにやれることを全部やるというアクションを求めたいわけではなくて、数値指標が下がってきていることを「正確に状況把握して、それをどう分析して、自分なりに解釈し、示唆を考察できるか」というアクションを求めています。
納得感のある考察まで辿りつけること=分からないことが分かるようになることなので、そういうことができるメンバーはとてもありがたいし、自然と求められる領域や責任も増していくのではと思います。