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MarkeZine Day 2025 Retail

ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?

現代の消費を紐解くキーワード:リキッド消費/トキ消費/応援消費/界隈消費/消費の好循環/パルス型消費

2.今、ここに存在することに価値を見出す「トキ消費」

モノ・コトに続く大きな潮流、トキ消費とは?

 トキ消費とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費」です。博報堂生活総合研究所では、モノ消費、コト消費に続く消費潮流として「トキ消費」の研究を行ってきました。

 トキ消費の潮流が顕著に見られるようになったのは、2010年頃からです。ハロウィンやライブの盛り上がり、映画の応援上映やフェスブームの到来などを筆頭に、従来とは違う参加型の楽しみ方をする消費の動向が見られるようになっていました。

 モノを所有すること(=Have)に価値を見出していた時代から、体験をすること(=Do)に価値を見出す時代へ。以前より消費潮流は、社会の環境を反映しながら移り変わってきたのです。トキ消費の共通点、生まれた背景これまでのモノ消費、コト消費との違いを明確化するため、私たちはトキ消費の要件として次の3つを定めています。

トキ消費の共通点

  1. 時間と場所が限定されていて、同じ体験が二度とできないという「非再現性」
  2. 不特定多数の人と体験や感動を分かち合うという「参加性」
  3. 参加することで、その場・その時の盛り上がりに貢献していると実感できる「貢献性」

 トキ消費が出てきた要因の一つにスマホやソーシャルメディアの存在があります。2010年代に入りソーシャルメディアが興隆し、生活者は日々たくさんの情報に触れるようになりました。あらゆる情報にいつでもアクセスできる環境にいると、実際に自分が体験していないことも、「知っている」「なんとなくわかっている」ような気がしてきます。

 しかし、質感や食感、光や香り、音の響きといった、その時・その場所に存在しなければわからない五感による情報もあります。そうして、生活者が「今、ここに存在すること(=Be)」に価値を見出すようになり生まれたのが、トキ消費だと私たちは捉えています。

 また、これまでのモノ消費、コト消費は企業側が生活者へ商品・サービスを提供するだけでも成り立っていました。ですが、トキ消費は、前述のとおり消費行動に「参加性」がなければ成立しません。企業がマーケティングを考える際、この点は、モノ消費・コト消費と大きく異なるポイントだと思います。

 

 

博報堂生活総合研究所
上級研究員 夏山明美氏

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3.企業のバランス感覚が問われる「応援消費」

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/16 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45861

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