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マーケティングの近未来

GoogleとMicrosoftの強みと弱み/Personal AIの未来を創るのは誰なのか?

広告運用のプロの告白「もう、GDNは提案しない」

 元Google社員の岡田 吉弘氏(現・LIFT合同会社代表)は先日、「GDNは提案しない」というブログを書いている。私は岡田氏の仕事ぶりに触れたことがあるが、私の知る限り、日本一の広告運用のプロであり、彼のきめ細やかな運用技術は圧巻で、心から尊敬している。その岡田氏が、「もう、GDNは提案しない」という。

 「以前のようにGDNを提案することは、おそらくもうないだろう。時代は変わってしまったし、広告費を前提にしたメディアビジネスは転換期を迎えている。そういう世界を望んでいたわけではないはずだが、もう仕方がないのだ」と括っている。

 一言でいえば、GDPRの影響で、「Googleの3rd party cookie/data依存のビジネスモデル」が破壊された結果だ。「Googleにとっては、GDNは成長しないだけでなく、原価も管理費も高く、MFAのような問題も引き起こす面倒な過去の遺産なのかもしれない」と記載している。そう、その通りだと思う。Googleにとってはもう、「面倒な過去の遺産」なのだ。

 AI業界のスーパースター、Mustafa Suleyman(現・Microsoft AI CEO)の発言が、岡田氏のブログと共鳴する。記事「DeepMind Co-founder: The Next Stage of Gen AI Is a Personal AI」の中に、次のように書かれている。

「Suleyman said Pi will do away with the popular internet model of offering a product, like Google Search or Facebook, free for users and instead rely on advertising to pay the bills. The ad-based approach does not align the interest of the tech platform with the user. “Really, the customer for Facebook and Google and the other big companies is the advertiser,” he said. “It’s not the user.”」

(意訳:Pi(パイ)は、グーグル検索やフェイスブックのような人気のあるインターネットのビジネスモデルとは距離をおいている。ユーザーにとっては無料でその代わりに広告収益に依存するモデルとは異なるものになる。広告ベースのアプローチは、「the user」(ここではPersonal AIのユーザー)のためのテクノロジープラットフォームの利益とは、相容れないのだ。グーグルやフェイスブックのカスタマーは、現実的には、広告主であって、「the user」ではない。)

 私はあるプロジェクトで、たまたま、Mustafa Suleymanとオンラインで話したことがある。Generative AIの次は、Personal AI(あるいは、AIコンシェルジュやAIアシスタント)だといわれているが、Personal AIに関連する15人ほどの研究開発プロジェクトで、ゲストとしてMustafa Suleymanが会議に呼ばれたのだ。彼が共同創業者を務めたDeepMind社はGoogleに買収され、彼はGoogleでVP, AI Product Management & AI Policy(2020年~22年)を務めていた。しかしながら、彼はあっさりとGoogleを辞めてしまう。私は、そのことが気になっていたので、思い切って質問した。「Googleを辞めた理由はなんでしょうか?」と。

 それは、岡田氏のいう「面倒な過去の遺産」と重なる話だった。つまり、彼の回答の趣旨は、「Personal AIの時代を見据えたときに、Googleのビジネスモデルは過去の遺産になってしまった」と。その彼が今年の3月からMicrosoft AIのCEOに就任している。OpenAI社CEOのSam Altman、そして、今度はMustafa Suleyman。AI界のスーパースター二人を擁するMicrosoftは、Generative AIの次を見据えた準備をしているのだろう。

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この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45886

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