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第106号(2024年10月号)
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リテールのマーケティングトレンド(AD)

8ヵ月でMAUは192%の成長率!ウエルシアに聞く“三方良し”なアプリ開発・リテールメディア実装

 リテールメディア参入が盛んとなり、店頭の媒体や自社アプリを通じた発信が注力されている。一方、リテーラーにとっては、顧客の決済方法の多様化などからアプリそのものの体験価値の見直しや底上げにも気を配る必要があり、以前よりも柔軟な開発力が求められている。ウエルシアグループはDearOneとともに公式アプリ「ウエルシアグループアプリ」のリプレイスに取り組み、ユーザー体験の価値向上に向けた機能やリテールメディアの実装を推進。MAUを倍増に成功させ、メーカーにとっても有効な媒体として進化させているという。アプリの役割や開発パートナーの要件、リテールメディア開発によって得られた気づきなどについて聞いた。

来店を生むための習慣になるアプリ

━━昨今、小売業界ではリテールメディアへの参入が盛り上がりを見せています。ウエルシアグループとしてアプリに求める役割をお教えください。

清田:まず一つは、来店動機になることです。そのためアプリを立ち上げると、インセンティブや様々な情報など、お客様にとって便利な機能や特典があって、来店時にお得になることがわかります。そこからアプリの起動が習慣化すれば、来店動機につながります。

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ウエルシア薬局株式会社 商品本部 マーケティング部長 清田明信氏
大学病院で薬剤師勤務を経て、グリーンクロス・コア(現・ウエルシア薬局)に入社。店長、バイヤー業務を経験後、中国事業の立ち上げに携わる。現在はマーケティング部責任者

 もう一つ、お客様の行動を把握する媒体としての側面もあります。当初、アプリにおけるリテールメディアとしての役割は副産物に近い印象でしたが、今回アプリ開発で協働したDearOneさんとの取り組みの中で、リテールメディアそのものがお客様にとって有効な情報との出会いの場になるという結果も見えてきているため、今は両方の意味合いがあると捉えています。

カスタマイズ性とコスト感のバランスが決め手

━━2023年の4月に公式アプリ「ウエルシアグループアプリ」のシステムをリプレイスされた狙いや背景を教えてください。

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ウエルシア薬局株式会社 商品本部 マーケティング部 マネジャー 藤村道孝氏
コンビニ業界でスーパーバイザーを経て、ハックドラッグ(CFSコーポレーション)に入社し、販促企画部に在籍。2016年にウエルシアに合併後は、ポイント販促グループでポイント販促だけでなく、デジタル販促や店内放送なども手掛ける

藤村:それまで他のASP(アプリケーションサービスプロバイダー)と開発してきたのですが、お客様のIDの取得ができていないこと、UIUXのオリジナルカスタマイズができないことが大きな課題でした。特にUIUXは重要視しており、たとえばトップ画面のカルーセルの大きさ、バナーの大きさ、動きのスピード、ボタンの配置などをカスタマイズしたいと考えておりました。その課題をクリアするために、改めて当社のオリジナルアプリを作ろうと思ったのがきっかけです。

 そのうえでまずは社内でアプリを通して実現したい世界観をまとめ、コンペを開催しました。DearOneさんの「ModuleApps 2.0」では、カスタマイズ性も担保できるものでありながら、フルスクラッチほどコストがかからないことが決め手になりました。

━━DearOneのアプリ開発支援サービスについて概要を教えてください。

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株式会社DearOne プラットフォーム事業本部 ビジネス推進部 メディアプロデュースグループ グループマネジャー 塚田康太氏
人材派遣業界からDearOneに入社し、フィールドセールス業務を行いながらアプリの提案を行う。昨年「ARUTANA」のセールス責任者に就任。リテーラーを中心に担当

塚田:「ModuleApps 2.0」はバックエンドがプラットフォーム化されており、プッシュマスタ、クーポンマスタ、広告配信マスタなど共通で使える標準機能のマスタを多く用意しています。一方で、クライアント様のスマートフォンアプリは個社ごとに開発しています。標準機能はイチから開発しなくても良いので、開発コストを圧縮でき、個社ごとにオリジナル性も担保できる、ハイブリッドなサービスなんです。

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 なお、アプリはリリース後にどう育てていくか、ユーザーを増やしていくかが非常に重要となります。そこをサポートするための伴走のサービスもご提供しており、カスタマーサクセスをアサインして、継続的な分析や機能のご提案を行っています。これも選ばれる理由の一つになっています。

8ヵ月間で100万ダウンロード、MAUは192%に伸長

━━ウエルシアグループでは、リプレイス後にどのような成果が得られているのでしょうか?

藤村:リニューアル後、8ヵ月間で100万ダウンロードを達成しました。2024年5月末時点で累計約650万ダウンロードとなっています。MAUも、リニューアル前と比較して192%まで大きく伸びました

 定性的な部分としては、2つの共通ポイントのバーコードを1画面でまとめられる点はお客様から非常に喜ばれています。ステークホルダーに求められる要件からすると本来実現するのは大変難しい機能ですが、DearOneさんの対応力のおかげで実現できましたね。

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App Storeより

藤村:また、その延長線上ですが、お客様の声からシニアの方向けのサービスが生まれました。アプリをダウンロードした時に回答いただくアンケート情報から「シニアパスポート」が出てくるような機能を実装しました。元々は紙のカードを店舗で作っていただき、レジでご提示いただく必要がありましたが、今回デジタル化できたことで非常に喜んでいただいており、スマホ1台で全部済んだ、とお褒めの声をいただくことも多いです。

清田:まだ課題はありますが、UIUXの改善を状況に合わせてスピード感をもって行える状況になったことはやはり大きな利点です。お客様に自信をもってお勧めできる機能になれば、ダウンロードを促すキャンペーンも行いやすい。今後の継続的な改善によって、1,000万ダウンロードも目指せると考えています。

リテールメディアの実装では「お客様に必要ないものが出ないか」を懸念

━━今回のアプリ開発の過程で、リテールメディアの実装にも取り組まれたと伺いました。貴社がシステム検討に際し、求めた要件はどのようなものでしたか?

清田:アプリの中にバナーやクーポン、キャンペーンなど様々な機能があります。これまでもその枠をメーカー企業様に販売していましたが、リニューアル後はそれがO2Oで出せる仕組みを標準で実装できたので、非常にありがたかったです。

 たとえばチラシだと数十品目を載せていますが、その中で一人ひとりが欲しいなと思うのは2~3品だと思います。それならチラシも、その人がその時に必要なものが出てくるようになったら良いよねという考え方です。必要なものがファーストビューで見られるものができるといいなと思い、DearOneさんに様々なご相談をしています。

 リテールメディアへの懸念点は、お客様に必要のないものが次々に出てきて、本来の体験が損なわれてしまうことでした。DearOneさんのシステムであればそうしたことはなく、広告の出し分けができると聞いたので、実験的に配信を行ってみました。3件ほど検証したところ、想定以上に成果があったので、本格的にスタートしようと決めました。

━━DearOneの塚田様に伺います。今回ウエルシアグループアプリに実装されたDearOneのリテールメディアプラットフォームについて概要をお教えください。

塚田:リテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」は、リテールの公式アプリをアドネットワーク化し、同じ広告を媒体横断で配信できるリテールメディア事業支援のプロダクトです。リテールメディアのバリエーションの中でARUTANAはオウンドアプリに特化したリテールメディアのサービスで、オウンドアプリを横断して広告配信ができるプラットフォームなんです。

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「ARUTANA」の公式サイトより

塚田:広告を掲載するか否かはリテール企業様が選択でき、掲載をいただいたら表示された分を成功報酬型で広告収益を得ていただける仕組みになっております。基本的にメーカー企業様の出稿なので、広告を出す際には対象商品があり、インセンティブ付きのキャンペーンだったりします。そのため、実際にアプリを使うユーザーから見ると、「広告」というよりは、「コンテンツ」と認識されることも多くなります。かつ、現在76.79%ほどはセグメント配信となっているため、ユーザー最適も図れます。

清田:広告のせいでアプリが魅力的ではなくなってしまうと元も子もありません。アプリの魅力を担保しながら広告収益も得られるスキームを作っていただいている。これはどちらの企業様にとっても良いものではないかと思います。

塚田:また、ARUTANAはアドネットワークであることから個社よりもリーチ力が高まるため、メーカー企業様が持つ販売促進費ではなく、従来はテレビCMに使われてきたような広告宣伝費の充当も期待できます。そのため、リテール事業者様が自社のリテールメディア運用と「ARUTANA」の二刀流で運用できることも強みの一つです。

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リテール事業者単独では獲得が難しいメーカー予算の獲得を協業により実現できることが「ARUTANA」の強み

フットワークの軽さと妥協なきサポートが成功要因に

━━今回のアプリ開発、リテールメディア実装の取り組みを振り返り、改めて成功要因と感じるのはどのような点でしょうか。

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藤村:成功要因はいくつかありますが、まずはコンペ前にまずウエルシア社内でアプリの方向性を取り決めたことですね。パートナーがDearOneさんに決まってからは、期限がタイトだったのですが、しっかりサポートしていただきながら要件定義をし、両者が妥協しない形でできたことが成功のポイントだったと思っています。

 DearOneさんを選んで良かったなと思うのは、とにかくフットワークが軽いことです。時間がタイトな中で塚田さんを中心にほぼ毎日やり取りしていただけました。わからないことを電話口で聞くと即答してくださることが多く、最短で最適解まで導いてくださり助かりましたね。この対応力もDearOneさんの強みだなと思います。

アプリもリテールメディアも三方良しにしたい

━━ドラッグストアチェーンとして、今後のアプリ領域における取り組みの展望を教えてください。

清田:アプリはドラッグストア業界に限らず、リテール業にとって重要なツールです。ウエルシアではまだまだ利用率は高くないのですが、2人に1人は使っていただけるような媒体にしたいと考えています。

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清田:そのためにはやはり、UIUXが最も重要だと思っております。今の主な課題は、クーポンの出し方です。商品のクーポンは、自社で分析し始めていますが、O2Oでクーポンが出せるようにしていきたいと思います。また、来店時の1品10%OFFクーポン、雨の日割引クーポンなども来店動機になると思うので、これにもしっかり取り組んでいきたいと考えています。

 最終的にはポイントカードを一元管理し、対応するクーポンもすべて自動的に読み込んで、会員コードを提示すると決済まで済んでしまうようなものを実現したい。そうすると、利用率50%に近づいていくと思っています。

 リテールメディアは今後、アプリを含めてどんどん拡大していくと思うので、三方良しのリテールメディアを追求することは今後も大切にしていきたいと思います。

━━DearOneとしてはウエルシアグループの展望に対して、どんな価値提供をできるとお考えでしょうか。

塚田:アプリは作って終わりではないので、お互いにアイデアを出しながら良くしていきたいと思います。UIUXを高める機能を改修する際には当然コストもかかるため、「ARUTANA」で広告収益を上げていただくことも、私の役目だと思っています。

 「ARUTANA」で広告収益を獲得し、その収益をクーポンの販促やアプリのUX向上など、エンドユーザーが喜ぶような施策に使っていただく。それによってMAUが増えていき、媒体価値が上がり、また「ARUTANA」に出稿できる幅が広がり、より広告収益を上げられる。このサイクルを、ウエルシアさんと一緒に回させていただけたらと思います。

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塚田:「ARUTANA」はオウンドアプリに特化したアドネットワークですが、媒体面を拡大していくという意味でテレビCM、ビーコン、サイネージなど、各種のパートナーとタッグを組んで複合的なサービスのパッケージ化も進めていきます。「ARUTANA」の認知を広げるべく、草の根活動は引き続き頑張っていきたいですね。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社DearOne

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/05 10:00 https://markezine.jp/article/detail/46012