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MarkeZine Day 2025 Retail

社会価値創出につながる事業推進の在り方とは?

自社の資産を“人材”と定義しアクセンチュアが注力する企業市民活動 事業成長と両輪にする仕組みを聞く

契約形態から評価体制まで社会貢献活動は本業と同列

――「企業市民活動」は、実際の業務や組織にどのように落とし込まれているのでしょうか?

 アクセンチュアのコンサルタントは通常、クライアント(顧客)と向き合う「プロジェクト」に配属されますが、企業市民活動のプロジェクトも、そのような「本業のプロジェクト」と同列に位置づけられています。

 非営利団体や大学などをクライアントとし社員の専門性や技術を提供するプロボノプロジェクトとして無償で行われますが、成果目標などは有償プロジェクトと同様に評価されます。イメージとしては、「私たちは1年でこのような成果をお届けします」と提案して、合意をしたらそのプロジェクトが始まり、終了時に成果に基づき評価されるといった流れです。

 もちろん正規の業務として扱われ、プロボノとして配属されている間の企業市民活動への参加は勤務時間としてみなされるほか、プロジェクトの成果は昇進や評価に反映されます。また、成果物に関しては第三者による品質管理も導入するなど、通常の有償プロジェクトと同じような仕組みで運営されています。

――誰がどのプロジェクトに参加するかは、どのように決められるのですか?

 通常業務と同様、社員が自ら希望を出して配属先を決めます。会社主導で社員を割り当てることはありません。もちろんプロジェクトごとに定員があるのでメンバーを調整することはありますが、みな「この課題を解決したい」といった強い想いをもって取り組んでいます。

事業成長へのインパクトをどう考えるか?

――社会貢献活動が自社の事業成長にどのように寄与しているかを説明することに難しさを感じている企業もあるようです。アクセンチュアの場合「企業市民活動」が事業成長に与える効果について、どのように捉えていますか?

 アクセンチュアが掲げる究極のゴールは「国のGDPを上げること」です。人材は一国の経済力の源であり、人材・スキルの課題を解決していくことは国全体の経済力を高めることにつながります。結果として、私たちのクライアントやアクセンチュア自身を含め、この国でビジネスをする人たちの環境を整えていくことにもなるでしょう。

 少子高齢化と労働人口の減少という構造的な変化に直面する日本が持続的に成長していくためには、働く意欲のある人に対して経済活動への参加機会を提供すること、そしてスキルの向上を通じて、より高いレベルでの能力発揮を図っていく地道な取り組みが求められます。

 「Skills to Succeed」の活動による効果は、「受益者数」の形で定量的に把握しており、実際、2023年度の1年間に、世界全体で約430万人、日本においては12万人以上に対して、就業や起業のためのスキル構築の機会を提供してきました。加えて、「企業市民活動」への関与は、社員にとっても「成長の機会」として有益なものであると感じます。

――なるほど。資産として「人(社員)」を活かすことで、それが巡って人(社員)の成長に繋がっていくのですね。

 はい。社会的価値の創出は、クライアント向けの事業を含めて、アクセンチュアのすべてのプロジェクトにおいて重要な考え方ですが、その上で「企業市民活動」では、社員がより直接的かつ明確な形でそれを実感できます。社員の能力向上という観点でも、「企業市民活動」のプロジェクトは比較的小規模なチームであることから、社員は現場に近いところでメンバーを直接動かし、影響を与えるような経験を積むことが可能です。このような経験は、その後のクライアント向けプロジェクトにおいても活かされるでしょう。

 また、まだ市場が確立されていない分野にも挑戦できるなど、通常のプロジェクトでは得難い経験を積むこともできます。さらに、近年の若い社員の中には、学生時代から社会課題の解決や価値創出に関心を持ち、SDGsへの貢献を企業選びの基準の1つとしている人も多いです。このような社員が活躍できる場を作っていくことは経営の観点からも重要であり、人材の獲得とその維持にもつながっていると考えます。

 「本業を活かして人々のスキルの育成を図り、キャリア形成の準備や実践を支援することで、人々が自分の力で人生を切り開く後押しをする」。「Skills to Succeed」の活動は、アクセンチュアが企業市民として行うべき重要なものなのです。

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長期的な成長を目指すなら、事業価値×社会価値創造の推進は不可欠

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/11 19:20 https://markezine.jp/article/detail/46053

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