話題の画期的な新商品「妊活おりものシート」誕生の裏側
MarkeZine:生理の悩みだけでなく、2023年は妊活問題に取り組んだ「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」の発売が話題を呼びました。この商品は、どのような経緯で誕生したのでしょうか?
中野:当社には「NOLA & DOLA」という企業理念があります。これは「Necessity of Life with Activities」と「Dreams of Life with Activities」の略語です。
Necessity of Life with Activitiesとは、不便や不快といった「不」の解消、言わばマイナスをゼロにするための価値提供を意味するもの。一方、Dreams of Life with Activitiesには、「こんなのがあればもっと快適に過ごせるのに」という生活者の夢を形にして提供するという意味があります。さらに、コーポレート・ブランド・エッセンスに「Love Your Possibilities」を掲げており、消費者一人ひとりが自らの可能性を最大限に発揮できる共生社会の実現を目指しています。
「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」はその取り組みの一環として開発したもので、まさにNOLA&DOLAや「Love Your Possibilities」を体現するような商品であると思っています。
MarkeZine:なるほど、根底に企業理念があったのですね。
中野:ええ。また、ソフィブランドは「女性の一生をサポートしたい」という強い想いを持っていますが、性や生理にまつわる心身の悩みには本当に様々なものがあると感じています。妊活やおりものもそのひとつです。特に妊活については、年齢や体質など個人差が大きく、検温や検査薬の確認など日常生活において負担が大きいですよね。
その負担を少しでも楽にしたいと考え、妊活に関する基礎研究をスタートしました。そして、この研究で「日々分泌されているおりものは体からのメッセージである」という事実に気付いたのです。

そこから「おりものを活用すれば、生活者の日常を変えることなく妊活のタイミングをチェックできるのではないか」と考え、約5年かけて商品開発を進めました。商品だけではなく、「妊活からだナビ」というサービスも一緒に展開しており、パートナーと共に正しい知識に基づいて妊活に取り組んでいただける情報を提供しています。
大切なのは「発信」より、当事者の気持ちを「代弁」すること
MarkeZine:ソフィとしては、“生理”から“妊活”の領域へ踏み込む形になったわけですが、マーケティングや啓発活動ではどのような施策を展開していますか?
中野:マーケティング施策は、テレビCMとデジタル広告を中心に展開しています。中でも、テレビCMに関しては、パブリックな場で「妊活」というワードを堂々と出すこと自体、実はかなりチャレンジングな試みだったのも事実です。
そんなチャレンジングなCMでしたが、「妊活に新しい選択肢を/いつもどおりの日常生活で」と訴えたところ、「ソフィが自分たちの気持ちを代弁してくれた」という声が寄せられました。ほかにも「私も妊活に取り組みたい」「前向きに取り組めるようになった」との声をいただいています。

MarkeZine:これまでお話しいただいたとおり、生理や性、妊活などに関する悩みは個人差もありますし、センシティブな事象も含まれます。CMを含めて生活者とコミュニケーションするにあたり、留意していることはありますか?
中野:たしかに、性に関する情報・コンテンツは扱い方がとても難しいと思います。 ただ、個人差やセンシティブな問題があることを前提としつつ、だからこそ当事者が自分では口にできない悩みや気持ちに寄り添い、我々が代弁者になることが必要だと考えています。
社会がこのテーマに対してオープンになってきたとは言え、なかなか人に打ち明けにくいことがまだたくさん存在します。そんな想いをソフィが代弁する形で社会課題として提示することで、お客様からの共感を生み出すことができると思っています。
MarkeZine:企業発のマーケティングというより、ユーザーである女性の声を代弁することで共感を生み出すというわけですね。この部分は課題視しているマーケター・広報担当者も多いので、非常に参考になると思います。