月間3,100万人!WAONポイントユーザーのデータを活用
2024年現在、全国約2万6,000店舗とイオングループ企業の多くがWAONポイントを採用している。それに加え、グループ外企業にも加盟店舗を拡大している。ユーザーは電子マネーとして利用するだけでなく、クレジットカードや「AEON Pay(イオンペイ)」など様々な決済手段もポイント形態が統合されており、共通してWAONポイントを貯められる。
属性データの登録がなされた顧客の累計数は9,091万人にのぼり、ポイントを活用しているユーザーは月間3,100万人に。その中で、購買内容まで把握できるのは年間約4,000万人、売り上げにして3.9兆円分のデータをグループとして保持している。
イオングループが持つデータは、様々な接点で生活者の暮らしに寄り添ったものであることが特徴だ。これらのデータとWAONポイント基盤を活用し、同社はマーケティングソリューション事業において顧客インサイトのリサーチやサービスの改善を支援。事業貢献や成長を実現する施策を、各イオングループ企業に提案している。
こうした大量のデータは保持するだけでなく、分析から具体的なアウトプットをどう出していくかが求められる。それにあたり衣食住といった、顧客の暮らしに関わる様々なプロフェッショナル人材やネットワークとデータ、マーケティング基盤を活用。「2024年度は、具体的な支援まで実行するソリューション企画機能の強化に注力したい」と長島氏は意気込んだ。
イオングループ共通の、統合データ分析基盤を構築するために
次に長島氏は、マーケティングソリューション事業におけるデータ分析の基盤作りについて紹介した。同社のマーケティングプラットフォームの全体感としては、基本に忠実に、顧客を知り提案を行っていく上で必要な手段を講じる仕組み作りを進めている段階だ。
その中の分析ツールとして、イオングループ共通で企業別・業態別かつ全グループ合算の形で、商品や会員の調査・分析事業に取り組んでいくという。グループ全体にわたるため大変な計画だが、その先の取引先やメーカーでの利用まで想定し、開示範囲の調整ができる形となるように構想中だ。さらに顧客のSNSデータなども取り込み、解析して様々なデータを組み合わせ活用できる仕組みの提供も想定している。
他にも、顧客の性別や年代などのデモグラフィック情報を上記データに紐づけ、プロファイリングしていく取り組みも行っている。同社では「カスタマーDNA」と呼び、既婚・未婚や家族構成、ライフスタイルや価値観などを明らかにする仕組みの構築にも取り掛かろうとしている。「この商品がどのような特徴の顧客によく購入されているか」などを紐解き、商品開発やメディア活用につなげていく算段だ。
しかしID-POSデータだけでは「顧客はなぜその商品を買ったのか」「なぜこのサービスを利用しているのか」と、行動の背景までは見えてこない。そのためマーケティングソリューション事業では、定性調査としてインターネットリサーチやオンラインインタビューも実施していくと長島氏は説明した。
さらに、イオングループの未利用顧客の分析に対しても、外部企業が持つ家計簿データと連携することで対応。家計簿データをイオンマーケティングの分析機関が解析し各事業会社に提供するシステムも、近くリリースを目指している。