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広報活動・PRの効果を数字で語る!データ分析入門

BtoB企業の広報が事業貢献度を可視化するには?データ活用で方針を見直した事例も紹介【第4回】

データ活用で課題を解決!2つの成功事例

 最後に実際に当社で支援した事例を交えた、データ活用のケーススタディをご紹介します。

ケース1.見込み客を獲得したい人事研修企業 広報部

【前提】

 A社の広報チームは見込み客の新規獲得という目的のため、「世の中の会社員が抱える課題とその解決方法について詳しい」というイメージの醸成を目指している。そのために調査リリースを発信し、メディアセミナーを頻繁に開催していたが、あまり反響はなくメディア向けセミナーに参加する記者数も伸び悩んでいたため、活動を見直すことになった。

【取った対策】

 まずはアクション指標を重点的に見直した。

(1)調査リリースの開封率を確認し、開封率が高いときのタイトルやテーマの特徴を把握。開封率の高かったテーマに焦点を当てた配信を行うことに。確認したところ「若者」に関する調査リリースなら、総じて開封率が高い傾向があった。そのため「若者」に焦点を当てた調査リリースを、年2回配信することにした。

(2)メディア向けセミナーの案内状で、タイトルや趣旨を変えた案内状を2種準備。「セミナーに登壇する有識者とその講演内容を打ち出した案内状」と、「調査と分析結果を伝える講演内容を打ち出した案内状」で、配信数を絞ったテスト配信をして比較。出席意向率が高かった後者をメインコンテンツに設定し、全体に向けて再度配信を行った。

【結果】

(1)調査リリースの1本あたりの平均掲載数を4件から10件に増やせた。

(2)1回目の配信時の出席意向率は目標の40%に留まっていたが、再度配信とフォローの結果、セミナー参加意向が目標に対して140%の数値を示した。

ケース2.事業貢献を求められているバックオフィス向けSaaS企業 広報部

【前提】

 マーケティング活動に力を入れてきたが、リード獲得や成約獲得のペースが鈍化。導入事例を中心に広報活動を強化することとなった。しかし、単純なメディア掲載のみでは事業貢献度合いの計測は難しいと考え、マーケティング、セールス、広報PRの連携を目指した。

【対策】

(1)月に2社分の導入事例記事を作成し、オウンドコンテンツ化。記事公開のお知らせを、メディアに向けてメールマガジンで配信した。公開後2週間のコンテンツのUU数とページ滞在時間、遷移先ページを観測し、反響の大きい業種、流入元を洗い出した。

(2)導入事例がWebメディアで報道された際には、見込み客に向けて記事のURLをメールマガジンで配信し、開封率やページ流入率を計測した。またWebメディアでの掲載記事の二次利用許諾を得て、ホワイトペーパーや展示会で配布する抜き刷り広告を展開した。ホワイトペーパーはダウンロードページのUU数、DL数、問い合わせ数などをデータベース化し、広報・マーケティング・セールスでのアラインメントを推進した。

【結果】

(1)メディアでの反響をまとめたデータに基づいて、導入事例の業種別の反応を比較できるようになった。その結果、事例掲載を推進すべき業種が明確になった。

(2)マーケティングチーム、セールスチームのアクションとKPIが明確になり、事業への貢献を数値で測れるようになった。

(3)月に2件、安定して導入事例が公開され、メディア掲載数が増加した。

(4)メールマガジンからの問い合わせ数、ホワイトペーパーのDL数、抜き刷り広告の配布数など、広報起点のマーケティング活動でデータを収集できるようになったため、広報・PR活動がマーケティングや営業にも寄与していることを社内で伝えやすくなった。

 このように、データを分析して活用すれば、事業への貢献を数値で可視化できるため、社内でも成果を共有しやすくなります。BtoB企業であってもデータを活かした広報・PR活動が可能であることや、広報PRとマーケティングが連動できると感じていただけたら嬉しいです。

 データの活用によって、今後の広報・PR業務やマーケティング業務が、より効果的で意義深いものになることを期待しています。

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この記事の著者

倉地 大輔(クラチ ダイスケ)

ビルコム株式会社 プロデュース局 シニアコンサルタント。国内外大手クライアントのコミュニケーション戦略設計、メッセージ開発などPR支援に従事し、セミナーにも多数登壇。広報効果測定ツール「PR Analyzer®」のデータ分析に長け、社内資格「PRアナリスト」有資格者。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46586

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