Airbnb - アイコニック
ご存知の方も多いかもしれませんが、Airbnbの新たな「アイコニック」シリーズの発表は、今年も大きな話題となりました。
Aribnbでは、“音楽、映画、テレビ、アート、スポーツなどの著名なキャラクター/人物がホストとして、旅行客を宿泊先に招待する”というコンセプトのもと、「アイコニック」というカテゴリーの宿泊先を提供しています。
一例として、2024年の5月には、マーベル作品である「X-MEN '97」に登場する邸宅を、ニューヨーク州ウェストチェスターで公開しました。ここでは、作中に描かれているウルヴァリンとジュビリーの寝室、ビーストの科学実験室、テレパシー装置であるセレブロ、デンジャールームなどが再現されています。

またその後8月には、ポーリーポケットの家が追加されるなど、今後も「アイコニック」シリーズは増えていきそうです。漫画や映画のワンシーンに入り込んで休暇を過ごせると考えると、ワクワクしますね!
本事例は、サービス内容として非常に魅力的なだけでなく、生活者のトレンドを上手に捉えていると考えています。調査によると、全体数から見て多くはないのですが、生活者の旅行頻度が増えるに従い、旅行を通して得る刺激が薄れてきている予兆が見受けられます。今回のAirbnbのケースに見られるように、旅本来の非日常性を担保し、またスペシャルな体験を作ることは、今後のブランディングやマーケティングに求められるのかもしれません。

英ドミノ・ピザ - Ultimate Travel Accessory
最後は、ドミノ・ピザのイギリスでのキャンペーンです。
旅行先で異国の料理を食べるのは楽しみですが、同時に故郷の味が恋しくなることがありますよね。実際にイギリスでは、心支えとして、お茶やチョコレートなど自国の食品を海外旅行に持ち運ぶ人が多い一方で、スーツケースのスペースは限られ、また飛行機の機内持ち込み制限にもストレスを抱えている場面は多いようです。
そこで英ドミノ・ピザは、夏のホリデーシーズンに合わせ、飛行機の機内持ち込み用のガーリック・ハーブソース(100ml)を限定販売しました。「これで旅行先でも安心してドミノの味を楽しんでね」ということです。

本キャンペーンはパブリシティーとソーシャルがメインに展開され、話題となりました。旅行というモーメントを捉えれば、どのようなブランドでも、生活者と有意義な接点が作れるという良い事例ですね!
まとめ:旅行が抱えるネガティブとそれでも旅行をする生活者
今回は旅行や観光関連の事例を紹介させていただきした。
盛り上がりを見せる一方で、オーバーツーリズムや環境問題など、旅行が引き起こす新たな社会問題も生まれてきています。気候変動という観点から「フライトシェイム」(飛行機に乗ることが環境破壊の加担になることから恥ずかしい行為だとし、別の移動手段を推奨する社会活動)も生まれてきたように、持続可能な旅行を啓蒙する勢力や、旅行自体の頻度を控えるような意見も生まれてきています。
興味深いのは、このような風潮があるにも関わらず、旅行に向かう生活者の意識は失速をしていないことです。調査によると、環境への悪影響は理解しつつも、罪悪感を抱いているのは全体の三分の一に留まり、多くはそれでも旅行に行きたいと考えていることがわかります。

また国によっては飛行機の利用制限という議論が始まるなかで、仮に規制のような外的理由があったとしても、多くの生活者は高頻度で旅行を行いたいと考えていることもわかりました。並々ならぬ旅行への意思を感じますね。

今後も生活者のなかで「旅行」は存在感を増してきそうです。まだ見ぬ美しい場所を求め、異文化に触れ学び、あるいはゆっくりと気分転換を楽しみ、さらには旅行という行為を通して社会的な価値創造まで行おうとする。レジャーという枠を超えて、生活に定着してきている旅行は、今後も注目度の高いトピックだと考えています。今回の記事が参考になれば幸いです。