理解しておきたい、プラットフォームの2つの変化
前のページで説明した通り、生活者は結論ファーストかつタイパニーズに合わせた情報を求めています。そんな生活者のニーズに合わせ、各媒体の投稿フォーマットが多様化し、発信者に寄り添う形になりました。次に、そんなプラットフォームの最新の変化を解説します。
プラットフォームの変化1:投稿フォーマットの増加
TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなど短尺の縦型動画が浸透し、Xに関してもおすすめ欄の閲覧が一般化するなど、プラットフォームも変化しています。
その結果、静止画、動画、ショートムービーはもちろん、1日で投稿が消えるストーリーズなどの投稿フォーマットがこれまでより増加し、プラットフォーム上で見られるコンテンツのフォーマットも変化しているのです。

プラットフォームの変化2:アルゴリズムの導入
プラットフォームの変化の中で最大の変化はアルゴリズム(レコメンドシステム)の導入です。元々SNSは好きなアカウントを見つけてフォローし、情報収集するという文化がありました。しかし、TikTokの登場がその文化を大きく変化させました。TikTokはアプリを開くとまずおすすめ欄が表示され、フォローしている・していないに関係なく、ユーザーに合ったコンテンツをレコメンドします。
従来はSNSでフォロワー数の多いアカウントからの発信は多くの方にリーチしましたが、今は必ずしもそうではありません。
おすすめ欄にて動画が一定のユーザーに表示され、そこの視聴態度(いいね、コメントなどのエンゲージメントや視聴時間)によって、リーチが拡大するかが決まってきます。つまりTikTokにおいては、初速でいかに反応を獲得できるかどうかが表示回数を伸ばす上で重要だと考えています。

キャスティングで重用すべきは“バズポテンシャル”
生活者とプラットフォームの変化に応じて、キャスティングの仕方も多様化しました。2012年頃はとにかく知名度とフォロワー数が重要視され、ブログからSNSへちょうどインフルエンサーへの移行が進んだ時代でした。
2018年頃はインフルエンサー投稿のデータが重要視されました。具体的には男女比、年齢比などのデモグラフィック情報や投稿のエンゲージメントなどの平均数値が挙げられます。
そして2023年以降に関しては、従来では捉えられないバズポテンシャルを重要視するレコメンドキャスティングという考え方が生まれました。

従来のようにキャスティングを1パターンで考えるのではなく、知名度・インサイト・レコメンドの3つを軸にした選定方法×インフルエンス力で選ぶ必要があります。
たとえば、発売期に一気に話題を創出したい場合は、フォロワーの中でも熱量の高いいわゆる信者層と呼ばれる人を起用し、一気に盛り上がりを形成するべきです。一方で、幅広くではなく、特定のターゲットへリーチしたい場合には、インフルエンサーのフォロワーを正しく可視化し、データをもとにしたアサインが有効になります。
そして大物インフルエンサーの起用やテレビCMなどでの大量リーチではなく、SNSで的確にリーチを獲得したい場合に関しては、SNSで広がりやすいコンテンツ×人の掛け合わせで考えるコンテンツアサインで考えるべきです。

最新・インフルエンサーのオリエンテーション方法とは?
キャスティングトレンドの変化は、インフルエンサーのオリエンテーション方法も同様に関わってきます。先ほどの選定方法の変化同様、目的に応じてオリエンテーションも変えていくべきです。
まずフォロワーアサインの場合ですが、その方の特徴が活きるオリエンテーションをすべきですので、依頼会社が指定を設けすぎず、その人が紹介しやすいように心がけるべきです。
次にデータアサインの場合ですが、ここは過去の実機をベースに考える必要があります。どの投稿枚数が最適か、1枚目のクリエイティブはどの切り口が伸びやすいかを分析した上でのオリエンテーションが重要です。
最後にコンテンツアサインの場合ですが、ここでは人へのオリエンテーションよりもプラットフォームのアルゴリズムの把握が最重要です。媒体ごとで伸びやすい、トレンドフォーマット、切り口を分析した上で、インフルエンサーへオリエンテーションすることで効果が出やすいです。
さらに、オリエンテーションでは、どのプラットフォームで投稿されるかも加味することが重要です。
プラットフォームごとに特徴が分かれており、一括でオリエンテーションしてしまうと効果が半減してしまいます。それぞれの特徴を把握し、プラットフォームごとに戦略を立てましょう。

常に変化を抑えてプロモーション効果を最大化しましょう
最も重要なことはこの変化を常にキャッチアップしていくことです。ただ、インフルエンサーのフォロワー数や過去データのみを重視していればいい時代は終わりました。
自社商材のターゲットがどんな情報収集の仕方をして、どんな情報を求めていて、そこに対してどの媒体でどんなアサインをすれば効率的に情報が届きやすいのかを押さえることで、プロモーション効果の最大化が可能となります。