ベネッセのデータも踏まえて制作し差別化
――今回のクリエイティブを制作する際にはどういった工夫をされたのでしょうか?
毛利:撮影前、企画の段階で各シーンの素材を極予測AIに分析させ、得られたスコアを参考にしながら撮影と編集を重ねていきました。
たとえば、あるターゲットに対して、3つの撮影案があったとします。その際、パターンごとに企画を固めてから極予測AIを活用するのではなく、それぞれのカットの構想段階で、こまめに極予測AIを活用しました。そこで得られたスコアを参考に、各シーンの具体的なイメージを作っていきました。
橋本:極予測AIをより効率的に活用するために、ベネッセの持つデータも組み合わせた分析を行いました。過去の広告配信実績に弊社のデータをかけ合わせることで、ベネッセならではのクリエイティブを極予測AIのサポートを受けながら作ることができました。
「AIでクリエイティブを作ると均質化してしまうのでは?」と考える方も多いと思いますが、自社の持つデータアセットや蓄積していたナレッジを組み合わせることで、独自性を出すことはできると考えています。
毛利:また極AIお台場スタジオならではのポイントとして、バーチャルプロダクションを駆使した撮影と編集があります。高精細なLEDを用いた巨大なLEDウォールとー照度が高いLEDソフトライトを活用することで多彩な色彩表現ができ、ロケをせずともあらゆるシチュエーションのリアルな背景を映し出すことが可能です。
編集室も併設しているので、すぐにクリエイティブの編集もでき、撮影から編集までの工数とコストを削減できます。
検索数は160%増、CVRは115%増加
――今回の取り組みで得られた成果について教えてください。
橋本:今回配信した広告によって検索数が160%増加、資料請求のCVRは115%増加、さらに検索に至るまでの単価も120%低下しました。
中でも、検索数が160%増加したのは高く評価しています。デジタル広告は獲得が中心で、潜在層への認知・理解を深めるのが難しいとされてきました。しかし、今回は配信ボリュームを出しながら効果的なクリエイティブを配信できたため、検索数の大幅増加につながりました。
「リーチを獲得するならテレビCM」と言われることが多いですが、デジタル広告でもニーズに合わせたクリエイティブを複数用意しリーチを広げれば、テレビに引けを取らない有効なリーチを獲得できるのだと感じました。
これまでのワークフローでは、無数にあるユーザーのニーズを捉えいくつものクリエイティブを作ることは、物理的に不可能でした。しかし、今回の取り組みは、その常識を覆す第一歩になったと考えます。