サイカは、マーケティングを統合的に分析する手法「MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)」の日本国内における利用実態の調査結果を発表した。
MMMは、データドリブンなマーケティングを実践するためのマーケティング分析手法の一つ。オンライン・オフラインのマーケティング施策だけでなく、競合・天候など広告以外の外部要因を含めて統合的に分析し、各施策が売上に与える影響を可視化する。アメリカでは約8割のマーケターが認知し、約半数の企業が実践する手法だが、2020年時点での日本企業の導入率は約1割にとどまっていた(※サイカによる2020年度調査)。
MMMの認知率は約3割、現在導入中は7.2%
本調査を実施する前のプレ調査として、マーケティング担当者125名にMMMの認知・導入状況を確認すると、MMMを「導入している・知っている・興味がある」と回答したのは30.4%だった。また「MMMを知っており、現在導入している」と回答したのは7.2%だった。
MMMの導入は2021年度に大きく伸びた
次に、本調査でMMMの導入経験者にMMMの導入時期を聞くと、2020年の導入者が6.1%なのに対し、2021年は16.3%と約2.7倍になった。
MMM導入目的1位は「マーケティング戦略策定に活用する」
MMMの導入経験者にMMM活用の目的を聞いた。1位が「マーケティング戦略策定に活用する(41.8%)」、2位が「データを蓄積する(35.7%)」となっており、データ利活用の基盤としてMMMを活用していることがうかがえる。一方、上申や意思決定への利用は3割以下だった。
MMM導入前に期待したこと
MMMの導入経験者に興味・関心層を加え、導入前、MMMに期待したことを質問。TOP3は、「最終成果(KGI)に直接つながる直接効果や波及効果(間接効果)を加味した分析ができる(25.6%)」「データを基に将来の最終成果(KGI)を予測できる(21.9%)」「認知度や指名検索数などの中間成果(KPI)ではなく、売上や販売数などの最終成果(KGI)に対するマーケティング効果を可視化できる(20.5%)」。施策の直接効果だけではなく波及効果(間接効果)も加味した、精度の高い最終成果予測が期待されていた。
MMM導入後は、導入前の期待を一定数実現する結果に
さらにMMM導入経験者に、MMM導入によって実現できたことを聞いた。前問の「MMMに期待したこと」と比較すると、同様に「最終成果(KGI)に直接つながる直接効果や波及効果(間接効果)を加味した分析ができる(24.1%)」が1位となった。一方、「データを基に将来の最終成果(KGI)を予測できる(19.0%)」と「認知度や指名検索数などの中間成果(KPI)ではなく、売上や販売数などの最終成果(KGI)に対するマーケティング効果を可視化できる(17.7%)」は、期待に対して多少の落ち込みがあった。
MMMの年間費用は2,000万円以上。価格が導入のネックに
MMM導入経験者にMMMにかける年間費用を聞いたところ、「2,000万以上」が最も多かった。
MMM活用中の課題TOPは「新たな課題が出てきていること」
MMMを現在導入している方の課題感を深掘りすると、「MMMで分析できない新たな課題が出てきている(16.9%)」が1位となった。
さらに「MMMで分析できない新たな課題が出てきている」と回答した対象者に対してMMMで解決できない課題について聞くと、「予算配分の最適化はできるが、施策自体をどのように改善すればよいのかがわからない(20.0%)」「広告出稿後、数年~十数年にわたって最終成果(KGI)につながるブランド蓄積効果がわからない(20.0%)」がTOP2に挙がった。
【調査概要】
調査主体:サイカ
調査実施機関:インテージ
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2024年5月24日~27日
調査対象者:国内の年商100億円以上の企業に勤める係長以上の会社員
回答数:409
【関連記事】
・サイカとヤフー、検索などのユーザー行動データを用いた高精度なMMMソリューション提供
・コールトラッカーとアフィリコード・システムが連携 成果報酬型広告と電話効果測定を組み合わせ計測可能に
・電通、第77回広告電通賞を発表 サントリーが2年ぶりに総合賞を受賞
・神戸新聞NEXT、The Trade Deskの次世代IDソリューションに対応 広告体験の向上に期待
・サイバーエース、検索広告の運用指標を可視化し施策をレコメンドする「アカウントカルテ」を実装