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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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MarkeZine Day 2024 Autumn

22年で売上約20倍の中川政七商店 成長を支えるデータ起点のブランディングと「接心好感」の実践

ブランドを構成する3つのギャップを解消する

 MONJUは、CRMデータと顧客の行動データを活用して、ブランドを構成する3つのギャップの解消を目指すツールだ。

画像を説明するテキストなくても可
1.市場とのギャップ
・ブランドの想定するポジションと顧客の認識のズレを可視化
・ポジショニングマップを活用したブランド戦略の策定
2.組織内のギャップ
・クラスタリング技術を用いた内部認識の可視化
・商品政策・開発への具体的な落とし込み

3.ユーザーとのギャップ
・全タッチポイントのユーザーレポート管理
・販路戦略とコミュニケーション設計への活用

UXから自社のブランドを可視化する

 中川政七商店ではブランディングのためのプランを「戦略」、詳細化を「戦術」、実行を「戦闘」と呼んでいる。これらの成果を、MONJUはデータから総合的に分析し、先述した3つのギャップとの差異を可視化する。特徴的なのは、マーケティングに関わる部署だけでなく、全社で共通認識を持てるよう、あえて粒度を大きくした指標を採用していること。これにより、「商品政策→商品開発→販促→販路」という一連のプロセスを一貫して管理する。

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 各タッチポイントから顧客データが溜まり、それをCDPのような形で保管したり、アンケートやリサーチのデータを足したりしていく。

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 「MONJUでは、これを『ブランドポジショニングマップ』『クラスターマップ』『ユーザーレポート』という形でまとめています。商品政策の時点で、どんなユーザーに提供すべきか決まっているので、販促まで一貫性を持った形で提供でき、ブランドとのギャップのズレを最小限にできます」(中田氏)

 つまり、商品政策から販促まで一貫性を持たせるためのスタートラインである「どんなユーザーに提供すべきか」が、とても重要となる。そこで、中田氏が顧客解像度を高めるために取り入れたのが、顧客の「期待」を把握し「クラスタリング」する考え方だ。

「期待」を捉えることで顧客の解像度をUP

  中田氏は、顧客解像度を「特性」と「期待」に分けて考えるという。

画像を説明するテキストなくても可

 「たとえば『Aさんは、中川政七商店のテイストが自分に合わないと思うから選ばない』というのは特性です。ただし、Aさんが『友人への贈り物のためなら中川政七商店を選ぶ』場合、『友人への贈り物』がAさんの持つ期待になります。

 このように、どんな特性を持つ人でも、期待の広がり方次第で興味をもっていただける機会になるのです。そのため、分析の際に重要になるのは、顧客の『特性』ではなく『期待』なのです」(中田氏)

 中川政七商店の看板商品である色とりどりの大判ふきん「花ふきん」を例にすると、「(1)食器ふきや台ふきとして使いたい」「(2)引っ越しの挨拶に近所で配りたい」「(3)蒸し料理のかぶせ布に使いたい」「(4)タオルのように汗拭きに使いたい」と、4つの期待が考えられる。

 実店舗であれば、顧客の期待に寄り添い、適した商品を提案できる。しかし、ECサイトでは一律的な商品説明になりがちだ。中川政七商店では、MONJUを活用し、期待に応じてクラスタリングを行い、コミュニケーションを分けていくことにした。

次のページ
顧客をクラスタリングし、適切なコミュニケーションを

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46796

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