ブランドを構成する3つのギャップを解消する
MONJUは、CRMデータと顧客の行動データを活用して、ブランドを構成する3つのギャップの解消を目指すツールだ。
・ブランドの想定するポジションと顧客の認識のズレを可視化
・ポジショニングマップを活用したブランド戦略の策定
2.組織内のギャップ
・クラスタリング技術を用いた内部認識の可視化
・商品政策・開発への具体的な落とし込み
3.ユーザーとのギャップ
・全タッチポイントのユーザーレポート管理
・販路戦略とコミュニケーション設計への活用
UXから自社のブランドを可視化する
中川政七商店ではブランディングのためのプランを「戦略」、詳細化を「戦術」、実行を「戦闘」と呼んでいる。これらの成果を、MONJUはデータから総合的に分析し、先述した3つのギャップとの差異を可視化する。特徴的なのは、マーケティングに関わる部署だけでなく、全社で共通認識を持てるよう、あえて粒度を大きくした指標を採用していること。これにより、「商品政策→商品開発→販促→販路」という一連のプロセスを一貫して管理する。
各タッチポイントから顧客データが溜まり、それをCDPのような形で保管したり、アンケートやリサーチのデータを足したりしていく。
「MONJUでは、これを『ブランドポジショニングマップ』『クラスターマップ』『ユーザーレポート』という形でまとめています。商品政策の時点で、どんなユーザーに提供すべきか決まっているので、販促まで一貫性を持った形で提供でき、ブランドとのギャップのズレを最小限にできます」(中田氏)
つまり、商品政策から販促まで一貫性を持たせるためのスタートラインである「どんなユーザーに提供すべきか」が、とても重要となる。そこで、中田氏が顧客解像度を高めるために取り入れたのが、顧客の「期待」を把握し「クラスタリング」する考え方だ。
「期待」を捉えることで顧客の解像度をUP
中田氏は、顧客解像度を「特性」と「期待」に分けて考えるという。
「たとえば『Aさんは、中川政七商店のテイストが自分に合わないと思うから選ばない』というのは特性です。ただし、Aさんが『友人への贈り物のためなら中川政七商店を選ぶ』場合、『友人への贈り物』がAさんの持つ期待になります。
このように、どんな特性を持つ人でも、期待の広がり方次第で興味をもっていただける機会になるのです。そのため、分析の際に重要になるのは、顧客の『特性』ではなく『期待』なのです」(中田氏)
中川政七商店の看板商品である色とりどりの大判ふきん「花ふきん」を例にすると、「(1)食器ふきや台ふきとして使いたい」「(2)引っ越しの挨拶に近所で配りたい」「(3)蒸し料理のかぶせ布に使いたい」「(4)タオルのように汗拭きに使いたい」と、4つの期待が考えられる。
実店舗であれば、顧客の期待に寄り添い、適した商品を提案できる。しかし、ECサイトでは一律的な商品説明になりがちだ。中川政七商店では、MONJUを活用し、期待に応じてクラスタリングを行い、コミュニケーションを分けていくことにした。