シニア・プレシニアが「仕事」に求めているもの
──どのような価値を打ち出していかれたのでしょうか?
中川:インタビューにより、ワーカーは「タイミー」に対して、「履歴書・面接不要」と言った点や仕事が終わったらすぐに報酬を受け取れる「即金性」といった元来打ち出していたメリット以外にも、「仕事をした際に言われる感謝の言葉や役に立てた実感」、「仕事場で出会った人とのつながり」などの普遍的な価値を感じていることがわかりました。そのような価値をテレビ以外でも打ち出した結果、共感してくださる方が増えたのです。
またシニア・プレシニアの方々が、よくおっしゃることが2つあります。1つ目は、面接や履歴書が必要だと、年齢で落とされてしまって希望している仕事になかなか就けないこと。「タイミー」ではその心配がありません。
2つ目は、定年退職された後にまだエネルギーのある方が、社会とつながりを得るために「タイミー」を通して働くということ。健康維持や、未経験の仕事へのチャレンジといった感覚で「タイミー」を利用されている方も多いのです。このようなインサイトにも訴求した結果、ボリュームゾーンである30~40代と併せて、高い年代のワーカーも増えたと考えています。

“流動的な働き方”を重視
──事業者側からも、シニア・プレシニアのワーカーを求める声は多いのでしょうか?
中川:シニア・プレシニアには長い社会人経験から、たとえば英語を話せたり法令に詳しかったりなど、様々なジャンルの経験者がいます。そのため、事業者からは「即戦力人材」として喜ばれているケースは非常に多いですね。実際、スポットワーク先から長期就業を打診されるシニア・プレシニア層も多くなってきており、2023年度に実施した調査では、現役世代よりシニア・プレシニア世代の方が長期就業を打診されていることがわかりました。

中川:ただ、最近は働くことに対する価値観が変わってきていて、流動的に予定を決めたい方が増加しています。「タイミー」では、スポットワーク先で引き抜きされる場合の手数料を一切いただかないという特徴があるのですが、流動性を重視する価値観の方はスポットワーク先に固定就業されないことを選択する場合もあります。