SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

マーケターが向き合うべき「人間の欲求」を丸裸に!セガ エックスディー伊藤氏と面白法人カヤック後藤氏が語る、ゲーミフィケーション最前線

アプリや認知施策、コンテンツマーケティングにも!ゲーミフィケーションの具体的な活用アイデアを一挙紹介

コンテンツマーケティングの最初のハードルを越える「遊びを入れた企画」のアイデア

MZ:続いて3つ目は、“コンテンツマーケティングを行うBtoB企業”のお題です。「ウェビナーやイベントを開催するものの、最後まで見てもらえず参加者数も獲得リードも頭打ち」と悩む企業にどのようなアイデアを出しますか?

伊藤:提供するコンテンツの内容がつまらないことや、他社のものと似通って埋もれてしまうことが、顧客が参加を検討する上で最初のハードルになりそうです。

 過去に実際に行った例として、ウェビナーの内容自体をバラエティー番組風にする企画があります。内容自体はいたって真面目ですが、ひな壇と司会を置いて掛け合いを織り交ぜるなど、コンテンツそのものをおもしろくしました。その結果、完全視聴率を大きく改善できました。

 人間は先を予測できると飽きてしまうため、集中してもらうには、次に何が起こるかわからない緊張感を継続して感じさせることが効果的です。そのため、「コンテンツの見せ方や企画にもっと遊びを入れませんか」と提案しますね。

 企業目線では「この情報を伝えたい」という目的を優先したコンテンツ作りを行ってしまいがちです。さらに、「有用な情報なら視聴者は聞いてくれるはずだ」と考えます。しかし、視聴している顧客はあくまで一人の人間なので、まず情報を伝える前段階として飽きない工夫を入れることがポイントになります。

後藤:私も同じく、コンテンツをおもしろくする方向性で考えますね。たとえばeスポーツや格闘技イベントのような世界観を設定して、企業の代表者や部署同士などでディベートやプレゼンテーションを披露し合い、視聴者が投票して勝者を決める参加型企画を考えます。

 すると、視聴者は自分が票を入れた側に肩入れして、より前のめりで話を聞きたくなります。他にもリアルタイムで反映されるコメントや多数決機能など、何らかの形でコンテンツに視聴者が途中で介入できると、印象にも残りやすくなります。

対抗意識をかき立て、熱中させる

MZ:最後のお題は、“生活者にあまり認知されていない部品メーカー”のブランディングについてです。特に「学生など若年層に向けて自社や業界のことを知ってもらいたい」と相談が来たらいかがですか。

後藤:遊ぶ中で学べるシミュレーションゲームが良いでしょうかね。たとえば自動車部品のメーカーなら、サプライチェーンや業界の仕組みなどをゲームに落とし込んで、学生が参加できるチーム戦型に設計します。参加者に役割を分担したチーム制にすることで、続けるモチベーションにつなげやすくなります。

 これは「他人に迷惑をかけたくない」「褒められたい」といった欲求を刺激して、ゲームに熱中しやすくする手法で、ソーシャルゲームでもよく使われます。もちろん、ゲームを通して企業の強みや業界の特徴も理解しやすくなります。

 他にも、チームの単位を「県別」など対抗意識を駆り立てやすい形にすると、自動車業界なら「愛知県が強そうだから頑張って対抗しよう」といった文脈も加わって、さらに盛り上がりそうです。

伊藤:認知拡大の観点なら、私はコラボレーションやタイアップ企画を提案しますね。予算次第ではありますが、対象顧客が関心の高いコラボ先を探します。今回のお題でいえば、学生たちが好きなアイドルやスポーツ選手、インフルエンサーなどが適任になりそうです。

 そして、フォロワー数の多さより見る人が納得感を持てる人とタイアップしたほうが良いでしょう。自動車部品メーカーなら車好きを公言しているインフルエンサーといったイメージです。コラボ企画では自分の好きな人が関わっている企業は好ましく感じる心の動きを活用するので、ターゲットとなる層のファンが多いコラボ先を選定するとより効果的です。

ゲーミフィケーションはどんな領域でも活用できる

MZ:3回にわたる対談の締めくくりとして、今後の展望や取り組みたいチャレンジをお聞かせいただけますか。

後藤:改めてお伝えしたいのは、ゲーミフィケーションはどんな分野にも活用できることです。「自社はさすがに関係ないだろう」と思わず、ぜひ新たな課題解決の糸口に取り入れていただきたいです。世の中に広くゲーミフィケーション浸透させるためにも、私たちも「無茶振りも上等」な姿勢で様々な企業さんのお手伝いをしていきたいですね。

伊藤:ゲーミフィケーションは汎用的な人間理解に基づく行動変容デザインであり、決して狭い領域ではありません。人間の本質的な欲求を理解した上で、どのように行動や意識の変容を導くかという考え方に基づいた手法なので、アウトプットも「ゲーム的なコンテンツ」だけにとどまらないのです。

 つまり、ゲームの要素は入っているけれど、どんなところにも活用できるのがゲーミフィケーション。マーケティングでも、ゲームの力を使ってクリアできる課題は多岐にわたるのです。

MZ:お二人とも、ありがとうございました。

【連載特別クイズ:第3回~回答編~】

回答:19
理由:それぞれの言葉の文字数をカウントした数字です。
「ゲーミフィケーション(第1回)」+「ゲームフルデザイン(第2回)」=19文字

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
マーケターが向き合うべき「人間の欲求」を丸裸に!セガ エックスディー伊藤氏と面白法人カヤック後藤氏が語る、ゲーミフィケーション最前線連載記事一覧
この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/01/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46996

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング