急成長を続けるバーガーキング
看板メニュー「ワッパー」をはじめ、味や品質にこだわった本格的なバーガーを提供するバーガーキング。2023年末時点での店舗数は207店舗となり、これは、競合ブランドであるマクドナルド(2,982店舗)の10分の1以下だ。
しかし店舗数の成長率を2023年対2019年で比べると、マクドナルド(3%)をはじめ業界の各ブランドの中でも、バーガーキングは117%と群を抜いて高い。また売上高も、直近5年間で30.8%増と、年々成長を続けている。
「この勢いで、私たちは2028年までに3倍となる600店舗達成を目指します」と、ビーケージャパンホールディングスのマーケティングディレクターを務める麦氏は話す。その上で、バーガーキングはマクドナルドとの圧倒的な差がある国内の市場状況と直面せざるを得ない。
「そこで、私たちは短期的な計画として“真っ向勝負”をせず、違いを演出することに集中しました。また、その時にコミュニケーションがぶれることのないよう、一貫したシナリオを持つことを意識しました」(麦氏)
「消費者に第一想起されない」市場環境に、どう立ち向かうか
続いて、麦氏はバーガーキングの課題として、認知度の低さを挙げた。同社が行った調査では、「あなたが思いつくファストフード店を思いつく順にお答えください」という質問に対し、「バーガーキング」と自ら答えられた人はわずか2割程度だった。「想起率2割とは、そもそも思いつかない状態といえるのです」と麦氏は話す。
また、バーガーキングを利用しない理由を尋ねると、4割が「便利な場所にお店がないから」と回答した。
「消費者が思いつかず、近くに店がない状態のため、わざわざ振り向いてもらわない限り何も始まらない状態です。そこで、私たちは自分たちを“大きく見せる”という方針を取りました」(麦氏)
それが、バーガーキングのブランドの姿勢「BOLD&BULLISH(大胆で強気)」につながっている。国内におけるその取り組みの代表例は、秋葉原のケースだろう。2020年にバーガーキングの2軒隣にあるマクドナルドが閉店するにあたり、お礼の店頭ポスターを掲げたのだ。普通に読むと、マクドナルドに感謝をしている文章(横書き)が載せられたポスターだが、その文章の行頭を縦に読むと「私たちの勝チ」となる。
この仕掛けは、SNSやメディアを介して多くの生活者の間で話題となった。数字で見ると、規模に差のあるバーガーキングとマクドナルド。しかし、あえて攻めの姿勢ともいえるポスターを掲出し、世の中に両社の対立構造を浸透させることで、ブランドの輪郭を明確にしていったのだ。
他にも、2024年2月からは「バーガーキングの店舗が身近にない」という課題に対して、顧客から出店先の空き物件を募集する企画も実施。開始早々から多数の応募が集まり、SNSやメディアでも大きな話題となった。