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MarkeZine Day 2024 Autumn

恐れろ。それでも実行しろ。バーガーキングは「大胆で強気」なマーケティング戦略をいかに実現しているのか

「賛否両論」から拡散の環流が始まる

 バーガーキングでは「最大のリスクは、リスクを取らないこと」という考えの元、「Be afraid. Be very afraid. But do it.(恐れろ。大いに恐れろ。それでも、実行しろ。)」をマーケティングのメンタリティとして持つ。

 「100%賞賛の施策はつまらない。100%批判は炎上リスク。しかし、この間にあたる位置を狙い、『結果が楽しみ』と顧客に思ってもらえるようになれば、施策のインパクトは大きくなります」(麦氏)

 同社は顧客の態度や姿勢を分析しながら、賛否両論を作り出していく。そのカギとなるのが、「文脈(CONTEXT)」だという。

 ここでいう文脈(CONTEXT)とはブランドを取り巻く文脈を指しており、ビジネス・施策の効果に影響を与える様々な内外要因を3C(市場・競合・自社)の観点で整理していくのだ。

文脈(CONTEXT)が、アイデアのその先を生み出す

 麦氏は、発想やアイデアといったものをビジネスにおける「0→1」とした場合、「1→10」を生み出すものが文脈だと強調した。そして、文脈の先にクリエイティブやPR、SNSなど様々な表現手法があり、これらが「10→100」を実現する。この0→1と10→100をつなぐ文脈こそが重要だという。

 「バーガーキングでは、施策や商品のポイントを整理するコミュニケーションブリーフに、ビジネス上の目的やターゲット、ベネフィットなどを書いていきますが、その中でも特に季節性や文脈を大事にしています」(麦氏)

 たとえば秋になると月見シーズンとして、卵ベースの商品がハンバーガー業界を席巻し、風物詩ともいえるほどになった。しかし、物価の優等生と呼ばれた卵も2022年末頃から値上がりが起きた。

 市場としては、材料値上がりで厳しい状況に。競合は、それでも卵ベースの製品を出してくる。そんな中バーガーキングは次のような文脈を考えた。

 「人々から卵を奪ってまででもカルチャー(とセールス)を守る必要はない。カルチャーでなく、味で選んでほしい。卵の価格高騰で苦しんでいる方々に向けてコミュニケーションすることで、共感を得てメッセージを拡散いただく」

 そこで生まれたのが、卵をパイナップルに変えた月見バーガーだ。自社のSNSで「また卵買うの忘れちゃった。」と投稿し、商品に対しても賛否両論が渦巻いた。結果的には、広告換算額で2億1,000万を超えるPRとなった。

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アイデアから実行まで最短3週間!迅速さを強みに

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この記事の著者

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

 株式会社エヌプラス代表取締役

 デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46998

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