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MarkeZine Day 2025 Retail

“マツキヨPBの立役者”乙幡氏が紐解く 商品ブランド設計術

「激落ちくん」はなぜ価値を落とさずに製品展開を拡張できたのか?レックのブランド戦略から秘訣を学ぶ

異業種とのコラボで新規顧客のニーズに応える

乙幡:現在、ブランドの成長や競合との差別化に向けてどのようなことを行っているんでしょうか。

西田:最近では異業種とのコラボ企画を積極的に推進しており、「笑激SHOCK」という製品シリーズにおいて展開しています。たとえば、車のボディコーティング剤を展開するKeeperさんとコラボし、その技術を激落ちくんのフィールドである掃除に応用して、コーティングをバスタブや洗面台に施す製品を発売しました。

 他にも、半導体製造に使用する薬剤を開発する技術で日本を代表するメーカーと手を組み、浴室にある鏡のくもり止め剤の開発などもしています。

 このように自社では開発できない、完全に異業界の様々な企業の素材を探し出し、新たな顧客のニーズに応えるような製品を発売しています。

乙幡:実際にバスタブのコーティング剤を使ってみましたが、普段のお手入れはお湯をさっとかけるだけで良くなるので、お風呂掃除の手間が省けて非常に便利です。まさにタイパを重視する今の時代に合わせた製品を開発したということですね。

「激落ちくん」を受験生のお守りに?愛着を持ってもらうためのアイデア

乙幡:今後ブランドをさらに成長させるために何か考えていることはあるのでしょうか。

西田:新製品の開発に加えて、ブランドに対してさらに愛着をもってもらえるように、激落ちくんのキャラクターを活かした施策を進めていこうと思っています。ちなみに、今回の話を踏まえて乙幡さんに何か良いアイデアはないでしょうか……? ぜひ教えてください!

乙幡:せっかくこれだけ確立されたキャラクターですので、今以上に活用すべきだと感じますね。現在、店頭では激落ちくんのキャラクターをよく見かけますが、SNS上ではまだあまり登場していない印象です。個性的かつ非常に高い知名度を誇るキャラクターですので、製品の良さを活かして、SNSで多くの人にシェアされるような施策を展開できると良いですよね。

 具体的なアイデアとしては、激落ちくんの消しゴムを「受験のお守り」として押し出すのもおもしろいのではないでしょうか。

 というのも、YouTubeやクイズ番組などで活躍されている「QuizKnock」のメンバー・とむさんが、激落ちくんのメラミンスポンジをお守にしているという記事を先日読みました。SNSでも受験生が激落ちくんの消しゴムをあえて持つと言う人もいるようです。これらは「激落ちくんを持っていても、俺は落ちない」というメンタルの強さを表しているのだと言います。

 これはおもしろいと思う一方で、正直、そんなメンタルの持ち主はまれだと思います。誰しも何かに頼りたいものですし、実際に受験のタイミングでは激落ちくんを持っていたら、縁起が悪いと感じてしまう人のほうが多そうです。そこで、それをあえてそれを逆手に取った施策を展開するのはどうでしょうか。

 たとえば、激落ちくんの顔を、上下逆または反転して印刷したり、あえて「激落ちないくん」と製品名を変えたりするなど、意味的に「激落ちしない」ブランドにするんです。こうすることで、消しゴムをよく使う受験生にも安心して使用してもらえますし、むしろ願掛けのお守りのような形で活用してもらえるのではないでしょうか。

西田:確かにそれはおもしろいアイデアですね。早速実現へ向けて社内で検討してみます。

乙幡:もしこれが実現し、話題になったらおもしろいですよね。激落ちくんブランドのさらなる発展を楽しみにしています。

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この記事の著者

乙幡 満男(オトハタ ミツオ)

株式会社ブランドテーラー代表取締役
 

 大学卒業後、メーカーにて商品開発を担当。数多くのヒット商品を世に出し、特許も取得。米国クレアモント大学院大学ドラッカースクール卒業(MBA)ののち、米系コンサルティング会社で、イオンのPBのブランディングに従事。2014年マツモトキヨシに入社。同社のPB「matsu...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47042

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