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【特集】進むAI活用、その影響とは?

生成AI活用に驚きがなくなった今、企業が意識すべきこと

必要な知識や体制は? 企業が生成AI導入時に準備しておくこと

──「生成AIを活用したい」と考えた企業が最低限把握しておくべきAIの知識・特徴はどのようなものがありますか?

 厳選してお伝えすると、既にご存知かと思いますが生成AIには、ハルシネーションと呼ばれる、いわゆる嘘をつく現象が見られます。最近の研究でもハルシネーションを完全に回避することは難しいとされています。特に業務利用や商用利用で、ユーザーに何かを届ける際にAIを介在させると、アウトプットのコントロールが利かない場合が出てくる可能性があります。

 AIはあくまでもツールであり、それを効果的に活用するためには、人間の側で目的や方向性を明確に定め、適切な入力と結果の解釈を行う必要があります。データや何かしらの入力をAIに学習させれば、良い結果が自動的に出てくると想定している方もいるかもしれません。しかし、実際にAIに情報を投入したときに、どのようにすれば「良い結果」が得られるのかという部分は、人間が管理することです。

 たとえば生成AI活用のメリットの1つに、大量のアウトプットを生成できることが挙げられますが、生成されたものを活用できるかについての良し悪しの判断は人間が行います。チェック体制をどのように構築するか、何を弾くかの設定が課題になってくるでしょう。何が良いかという点を定義できていれば、その定義に基づいて生成AIに様々な出力をさせ、A/Bテストなどを行って洗練させていくといったことが可能です。

 また、AIの進化スピードが非常に速いため、柔軟に対応する体制や心構えが重要になってきます。最新だと思って作ったシステムが、半年後には更新が必要になるといった事態も少なくありません。作って終わりではなくソフトウェアシステムで言うアジャイル開発のように、継続的に開発を進めていく必要があるでしょう。

 ただし、マーケターは細かなAI自体の知識や特徴を詳細に知るというより、AIに振り回されずに、根本的な目的をしっかりと見据えることのほうが重要だと思います。

──実際に生成AIの活用に取り組もうとする際は、何から始めればよいでしょうか?

 企業や状況によって異なりますが、まずは目的や課題をはっきりさせておくことが重要です。日頃から会社が抱える課題点を整理しておくことで、生成AIの活用方法を具体的に検討しやすくなります。たとえば我々にそうした情報を把握した上でご相談いただければ、解決策として生成AIが本当に有効なのか、それとも別の方法が適しているのかといった議論ができるようになり、技術面も含めてチームとして共に取り組むことが可能になります。

──生成AIの活用では、学習データが非常に重要だと言われています。どのようなデータを用意すべきでしょうか?

 データをたくさん持っていても、それらがいわゆる「使えるデータ」でないことが多々あります。「使えるデータ」とは、しっかりと構造化された状態にあるデータです。もしそのような状態にないのであれば、しっかりと整える作業が必要になってくるでしょう。

 場合によってはデータ設計の見直しも視野に入るため、プロジェクトの規模にもよりますが、全社規模で取り組むときは、トップダウンで進めるほうが成功する可能性が高いと思います。

 生成AIが注目を集める以前から、「ビッグデータ」という概念のもと、多くの企業はデータ収集に注力してきたと思います。生成AIによりデータの重要性がさらに高まってきている状況です。

──他に生成AI活用を進める上で気をつけるほうがよいポイントはありますか?

 生成AI導入後の体制作りも重要です。顧客サービスに生成AIを導入した場合、注目を集める分、様々な方面から反応をいただくことがあります。中にはこちらの意図していない反応もあるかもしれません。様々なケースを想定し、どのように対応すればよいか、事前に社内で決めておくことでスムーズに運用できると考えています。

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価値の移動が起こっても、軸はユーザーインサイトにある

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/04 15:15 https://markezine.jp/article/detail/47075

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