BtoBマーケティングでは「信頼」が鍵に
MarkeZine編集部(以下、MZ):本日はPLAN-Bの取り組みを通じて、これからのBtoBマーケティングについて伺います。まず、世の中の「デジタルシフト」の流れについてどのようにお考えでしょうか。企業へのマーケティング・営業の仕方について、昨今の状況をお聞かせください。
百々(PLAN-B):マーケティングアプローチにおいてデジタルシフトはかなり進んできており、その中で新たな傾向が見えてきていると感じます。例を挙げると生成AIや情報発信手段の発展・多様化によりコンテンツ量とコミュニケーション量の両面で情報が氾濫しており、各企業の情報発信が受け手に認識されにくくなっていますね。
メールマーケティングでは、コロナ禍と比較して、ウェビナーの案内メールを送付しても、開封率やウェビナー参加率がふるわないケースが多々あります。SEO領域も同様で、「自社運用ではSEOの成果がでない」と悩んでPLAN-Bへ相談いただくケースも増えています。こうした状況を鑑みると、以前と比べて各社が当然のようにメールマーケティングやSEO対策に取り組むようになった結果、あらゆるコンテンツが市場に溢れ、情報が届きづらくなっているということだと感じます。
市場全体が似たような手法を過度に採用した結果、情報過多やコモディティ化が進んでいると考えています。
このような中で重要になってくるのが「信頼」です。「この企業から来たメールだから読む」「検索結果順位に関係なく、この企業の発信だから読む」などと思っていただけるようなブランド作りの重要性が高まっていると感じます。
「事例活用」に注目し、新たな信頼獲得につなげる
MZ:現在PLAN-Bが進めているマーケティング戦略についてお聞かせください。
百々(PLAN-B):主に2つのことに注力しています。
1つ目が業界におけるカテゴリーの創出です。既存のカテゴリー内で戦っていると、他社と差別化が難しく、コモディティ化する傾向があります。そのため、新たなカテゴリーを作ることで、「そのカテゴリーといえばPLAN-B」というブランド想起につながり、選ばれる確率が高くなります。現在、それを実行に移すための準備をしています。
2つ目は、ブランドの再構築です。さらなる信頼獲得につなげるためにも「PLAN-Bをどのような会社として認識していただきたいか」「そのためにはどのような発信をしていくべきか」といったことを整理しているところです。
その1つとして2024年より、改めて事例の活用に向き合っています。PLAN-Bではこれまで多くのお客様とお取り組みをしてきました。一つひとつの事例はPLAN-Bへの信頼の証を表すものであり、マーケティング上も重要な要素となっています。これまで積み重ねてきた信頼をもって、新たな信頼を獲得していくことを目指しています。
注目が集まる事例マーケティングと、その課題
MZ:事例を活用したマーケティングとは具体的にどういったものでしょうか。
野崎(ロゴラボ):企業の事例を活用した「事例マーケティング」は、事例を通して企業の信頼を深めていくためのアプローチです。このアプローチは、昨今BtoB企業の間で重要視されてきています。
野崎(ロゴラボ):その背景としては、デジタルシフトによって意思決定スピードも速まる中、企業は導入するシステム・サービスの比較に時間をかけられません。一方でプロダクトのコモディティ化が進み、どのサービスが自社に必要かを選ぶこと自体は難しくなっています。したがって多くの企業は、テクニカルな内容や生成AIで作った品質の低いコンテンツではなく、真に質の高い実践的なコンテンツを求めています。
このような状況下で有効とされるのが先行事例です。多くの企業にとってプロダクトの疑似体験を提供する役割を果たしており、「導入効果」だけでなく、その取り組みの経緯や導入プロジェクトのストーリーなど、「コト」の代理体験をすることができます。
MZ:PLAN-Bでは、事例活用を進める上で課題はありましたか?
百々(PLAN-B):まず挙げられるのが、許諾管理の煩雑さです。
事例活用の大前提は、掲載させていただくお客様のブランドを守り、ブランドイメージを高めて貢献することです。そのためには、双方合意が取れた状態で正しく活用することが必須です。このことは企業としてのガバナンスにもかかわります。
したがって許諾管理については以前から取り組んできましたが、事例ロゴの管理が部門ごとに一元管理できていなかったほか、担当者がそれぞれで許諾を取っていたため、利用範囲や期間、内容など、どのような許諾の取り方をしていたのかを正確に把握しきれていませんでした。
したがって社内で各担当者に許諾の詳細を確認するのにかかる膨大な工数も課題でした。専用ツールがないため、人為的なミスや漏れが発生しないようスプレッドシートなどの汎用ツールを使って手動で管理していました。
これらの課題を解消するソリューションとして導入したのが「ロゴラボ」です。
企業間のブランドデータおよび許諾のやりとりを一元管理できる「ロゴラボ」
MZ:ロゴラボとは、どのようなサービスなのでしょうか。
野崎(ロゴラボ):ロゴラボは、企業間のブランドデータおよび許諾のやりとりを一元化するプラットフォームです。ロゴをはじめとしたブランドデータの最新版管理、企業間の承認ワークフロー、許諾情報の自動的なデータベース化などにより、業務効率化とコーポレートガバナンスの整備を同時に実現しています。また、AI活用により、自社に影響のある他社のレピュテーションの変化を検知するブランド与信チェック・モニタリング機能も搭載しています。
野崎(ロゴラボ):企業のブランドデータは、ブランドイメージの根幹であり、著作物でもあります。その取り扱いはミスがないよう慎重に行う必要があります。ロゴラボでは、許諾は取引先企業様自身でフォームに入力していただきます。すると入力されたデータは、自動的にデータベース化されます。したがって導入企業は、各企業がどの用途で事例を活用することを承諾したか、活用できる期間はどれくらいか、といった情報を一元管理できます。また契約状況や業種別・規模別などでフラグ分けすることもできます。
加えて、新たな機能も順次追加しています。たとえば、従来はWebサイトなどに掲載する導入企業ロゴ一覧の配置調整に多くの時間を要しましたが、ロゴラボは画面上でロゴを選択し、列数を指定するだけで、自動的にプレビューが生成されます。URLを取得してサイトに埋め込むことで、ロゴの入れ替えなどのメンテナンスが容易になります。
野崎(ロゴラボ):このロゴ一覧は複数作成できます。実際、資料請求フォームのそばに、来訪者が興味をひかれる導入実績としてのロゴ一覧があるとCVRが向上するという結果も出ています。ロゴラボを活用すれば、製造向け・消費財向け・SaaS向けなどそれぞれの業界向けLPに合わせた「ロゴ一覧」といった形で整理し、提供することが可能です。
このようにロゴラボを活用することで「取引先企業様のブランドを守り、ブランドイメージの向上」「自社のガバナンス強化」、そして取引先企業様と「ミスを防げる正確な情報管理」が行えます。
商談化率アップと大幅な工数削減に!ロゴラボを活用することで出した成果とは
MZ:ロゴラボを活用することで得られた成果を教えていただけますか?
百々(PLAN-B):セールス領域の各段階において、反応率が向上していることが確認されています。新規を含め、お客様の業界に関連する事例を具体的に提示できるかどうかが、次の提案や商談につながる確率を左右していることがより実感できました。
マーケティング領域でも良い傾向が見られています。展示会でも来場者の方に対して、関連する事例を提示すると、その後の反応が大きく異なってきています。ロコラボを活用して多くの事例を収集し、業種業態ごとに精緻に整理し、いつでもお客様に合った事例を取り出せる状況を作っていることが成果につながっていると考えます。
社内においても、事例を活用する際の都度確認が不要になり、スピード感を持って進められるようになりました。素材と使用範囲が明確に管理されているので、デザインチームとの連携も取りやすくなり、事例活用に関する工数が大幅に削減できていると感じています。
MZ:PLAN-Bから見て、ロゴラボのソリューションはどういった企業におすすめしたいですか。
百々(PLAN-B):主に次の2点の状況にある企業におすすめします。
まず取引先企業数が多く、事例も豊富な企業です。そのような状況になるほど、管理が煩雑になる傾向があるでしょう。これは私たちも経験していることでもあります。
そして取引先企業のブランドを守るというガバナンス意識が強い企業です。現場での管理にも限界があり、確認作業の二度手間が必ず発生します。そのため、取引企業のブランドを適切に保護しつつ、ガバナンスを効かせながら事例を活用したい企業には適していると思います。
許諾管理からブランディング・マーケティング領域へ
MZ:最後に、今後の展望や展開についてお聞かせください。
百々(PLAN-B):お客様に合わせてロゴや資料、提案書をより柔軟に変更したいですね。営業部門との協力をさらに強化し、One to Oneのレベルで事例マーケティングを実践していきたいです。ロゴラボの開発スピードは目を見張るものがあるので、細かな機能も含めて、これからより良くなっていくと期待しています。
野崎(ロゴラボ):PLAN-B様は5,000社以上のマーケティング支援実績があり、豊富な知見から事例マーケティングをさらに効果的に活用すべく動いていらっしゃいます。何より事例活用によりお客様のブランドを高めることに貢献したいという思いが、私たちのビジョンやミッションと通じており、新たなシナジーを生み出せると考えています。
今後も許諾管理をベースとして、ブランディング領域、そしてマーケティングとプロモーション領域への展開を進めていきます。