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田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター

晴れ風が失敗したら辞めるつもりだった。キリンビール副社長 山形光晴氏が明かす、マーケティング改革

ブランディングの主導権が、企業から消費者に移ってきている

田中:少し話題を変えます。山形さんは、長らくマーケティングに携わっていらっしゃいますが、近年起きている変化で注視していることはありますか?

山形:最初のほうで、「いまは消費者が自分で好きな情報やコンテンツを取捨選択できる時代である」という話をしました。それにともない、ブランディングの主導権が企業から消費者に移ってきているという変化を感じています。

 消費者が自分で能動的に情報を取捨選択できるということは、つまり、自分が気になった情報しかその人の記憶に残らないということになりますよね。たとえば、晴れ風のブランディングにおいても、我々が目指すブランドイメージを発信したとて、それがそのままお客様の記憶に残る可能性は低い。さらに言えば、広告や売り場を見て記憶に残る要素は、お客様一人ひとりで異なってくるのが当然でしょう。

田中:なるほど、そのお話はよく理解できます。私も『デジタル時代のブランド戦略』(2023,有斐閣)で、なぜ昔のようなブランド術が通用しなくなったのか、21世紀に有効なブランド術とはどのようなものか、思案を巡らせました。

『デジタル時代のブランド戦略』有斐閣 (2023/11/27)
『デジタル時代のブランド戦略』有斐閣 (2023/11/27)

 結論、21世紀に支配的になるだろうブランドは「顧客体験型ブランド」「信号型ブランド」「理念型ブランド」の大きく3つに分けられると考えています。

 ここで言及したいのは「顧客体験型ブランド」です。山形さんが指摘された通り、顧客にとっては、ブランド側のメッセージよりも、自分がどう思ったか・どう感じたかが大事になっています。顧客体験を通して形成されていくブランドを「顧客体験型」と区分していました。

山形:なるほど。その話を踏まえても、やはりこれからのブランディングのポイントは、「ブランド側のアクションによって、どのような体験をお客様に残していけるか」にありそうです。そのブランド体験を通して、企業がブランドに込めた理念や考え方、あるいはブランドの雰囲気などが何かしらお客様の中に記憶として残り、その積み重ねでブランド資産が形成されていく。そうした資産を作っていくことが、マーケティングの仕事であるように思います。

田中:大変貴重なお話をありがとうございました。以降、後編で今日の本題である「CMOの役割」についてお話を伺おうと思います。

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この記事の著者

田中 洋(タナカ ヒロシ)

中央大学名誉教授。東京大学経済学部講師。京都大学博士(経済学)。マーケティング論専攻。電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。『ブランド戦略論』(2017年、有斐閣...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/15 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47088

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