スポーツがリニアTV市場を支え、CTV市場を押し上げる
米国でも旧(リニア)テレビ局の広告収益は減少しているのは周知だ。2018年頃の市場規模は約7.2兆円に達したが、2027年には5.5兆円にまで縮小する予測があり、市場の半減期が近付いていることが示されている。対照的にストリーミング配信による収益は増加し、リニア放送における収益の落ち込みをCTVが上積みしている状況だ。
この状況を単に視聴方法のシフトと理解するのではなく、リニア・CTVいずれの収益においても、スポーツコンテンツが「底支え」として大きく寄与している点に気づきたい。伸び続けるスポーツ放映権は年間3兆円に迫っている。この3兆円が上記のテレビ広告市場に占める大きさを想像してみよう(いずれも1ドル=100円換算)。
スポーツの放映権料が高騰している背景には、Amazon・Alphabet/YouTube・Apple・Netflixなどのビッグテックが企業価値(B/S資産)増大に比例し、莫大な支払い能力を高めていることが挙げられる。これにともない権利料は今後さらに高騰する見込みだ。
Disney/ESPNやComcast/NBCUといった旧テレビ局系企業がこの競争にどこまで耐えられるか、DAZNのような規模では振り落とされる可能性すらある。AmazonはNBAとWNBAに11年で約200億ドル(バスケットボール)、AlphabetはNFLに7年で約20億ドル(フットボール)、AppleはMLBとMLSに10年で約1億ドル(野球、サッカー)と、契約が次々と埋まっている。
日本国内でも既にこの影響はあり、テレビ業界では危惧されている。マーケター企業はこの事業構造のトレンドに気づき、早期に対応することができれば、新たなチャンスに「相乗り」することも可能だ。
