Googleがあの日に警鐘を鳴らした「本当の脅威」が現実に
ChatGPT searchの破壊的な革命は、このサービスが「なぜ人間は検索するのかという根本欲求を満たしていること」、そしてOpenAIが「検索に使うリアルタイム情報に価値を認めていること」に要因があると筆者は考えている。
10月31日のハロウィーンの日にOpenAIがリリースした「ChatGPT search」は、かなり衝撃的であった今までのリリースとも違う質の進化を遂げている。2022年の12月にGoogleは社内でRed Alertの警鐘を鳴らしたと言うが、このChatGPT searchは、まだ進化の過程に過ぎないものだったとしても、まさにGoogleが当時から予見していた本当の脅威が現実になったと表現できるほどのものだ。
OpenAIの課金ユーザーである筆者は今後おそらく、検索の60%くらいをChatGPT searchで行い、40%をGoogle searchという比率に変えていくような気がしている。
その理由は大きく分けて以下の二つになる。(1)何を求めて検索するのか、それによって手段を使い分ける時代が来たこと、そして(2)リアルタイムな情報に直接アクセスして結果が得られるようになったことだ。
検索は目的で手段を選ぶ時代に 従来の検索をおさらい
そもそも人は何を求めて検索するのだろうか? 様々な目的があると思うが、まず挙げられるのはFactベースのシンプルな情報収集のための検索である。たとえば自分が行くレストランの住所や電話番号、営業時間などを知るために行うものだ。この場合、検索キーワードの入力では自身が知るレストラン名のほか、同名で異なる店の検索結果が出てこないようにする工夫として所在地名などを入れれば事足りるだろう。筆者がたまに利用する本郷の「食堂もり川」も、「本郷」「もり川」と入力すれば住所や電話番号、営業時間などが出てくる。
検索の目的をもう一つ挙げるなら、最新の動向や自分が知らない情報を知りたい場合だろう。これには単なるFactも含まれるが、その答えは多岐に及ぶ可能性があるため、先述の検索と違って簡単ではない。たとえば、つい先日野球のワールドシリーズが終了したところで、筆者はスタンフォードに留学した佐々木麟太郎選手の動向が気になったため、「佐々木麟太郎 最新動向」と検索してみた(検索は日本時間11月3日)。
まず見てほしいのは通常のGoogle検索だ。
“最新情報”や“最新ニュース”と書かれた記事が羅列されている。ポイントは本当の最新情報も、過去に“最新情報”と書かれたページも結果の中に混ざっていることだ。これは今回の検索の本意ではないし、確かめるなら全部の記事を読んでまとめる必要がある。
では、ChatGPTで検索するとどうなるのか。まずはChatGPT searchではなく、通常のChatGPT(無料版、回数制限内でGPT-4を利用)での問いを試すと、次のように「情報がない」というコメントが出てくる(日本時間11月3日の結果)。
これはChaGPT4が学習した時期が、佐々木麟太郎選手が話題になった2024年2月以前のデータに基づいているからなのか、最新情報の問いにそのように答えるようになっているのかは定かではないが、いずれにせよWeb検索なしのChatGPTでは最新の情報が取得できず、満足できる結果にはならなかった。
では、ChatGPT searchではどうだろうか。