意識する指標は具体的にどう変わった?「ロイヤリティ」「効率」の基準
━━千葉さんと橘さんが担当されているクライアント企業の考え方はどのように変化していますか。
千葉:私はEC系やコスメ系のクライアント企業を担当することが多いのですが、従来クライアント企業は売上や購入件数など、多くの場合そのボリュームを目標として設定していました。しかし現在は、お客様により良い体験をしてもらい「ロイヤリティを深める」こと、そして最大限の効果を発揮できるように「効率を上げる」ことなどに対するご要望が多くなってきています。ROAS(広告の費用対効果)やCPA(顧客獲得単価)という言葉も、最近は以前よりよく聞かれるようになった印象です。
━━LINE公式アカウントによるロイヤリティ向上への効果を具体的にはどのような視点で評価されているのですか。
千葉:たとえばメーカー企業の場合、配信時のリアクションでブランドに対する愛着度を測っています。メーカーそのものに対する愛着、「この商品だったらこのメーカー」といった第一想起を重視しているクライアント企業が多くなっていますね。
橘:コスメ系のクライアント企業では、自社ECにおいてLINE公式アカウントを購買チャネルの一つとして重視することも多い傾向にあります。LINE公式アカウントを通じて商品の魅力を発信した際の開封率やクリック数などに加え、配信を通じてどれだけ購入いただけたかを重視されているケースが多いです。
「自由度の高い設計」「多角的データ」が武器になる
━━LINE公式アカウント運用をそうした一つ上の段階へと進めるために、専門的な立場として何を考え、提供することが多いのでしょうか。支援の際には、どのようなことを意識していますか。
千葉:まず初期はクライアント企業から「やりたいこと」として提示されるものだけではなく、何に悩み、何を課題と感じているかなど背景をお伺いし、分析することを意識しています。当然ですが、たとえば同じコスメ系の企業でもターゲットや商材特性によって、コミュニケーションの設計図は各社大きく異なります。アピールしたいポイントやブランドのありたい姿によって、見せ方や活用の方針は多種多様なのです。そのうえで「こんな施策をやってみたい」「これを達成したい」といったクライアント企業が持っている理想や実現したいと考えていることを大切にしながら、LINE公式アカウントの最適な活用方法をご提案しています。
橘:実際に画面の設計や施策の立案を行う段階では、開発の引き出しの多さが求められます。たとえば、レイアウト、タップ領域、吹き出し数、カルーセルの見せ方などをカスタマイズし、トークルームの中で巧みな表現ができればその分効果は高まります。その点、当社はAPI連携によって自由度の高い設計が可能で、目的に応じて今どのような表現が適するのかについても知見を蓄積し続けています。これはLINE公式アカウントを専門的に支援してきた当社ならではの強みだと考えています。
橘:クライアント企業が持つ購買履歴データの他、定例会でヒアリングした内容、APIを通じて取得したデータ、LINEヤフーが提供するLINE Official Account Managerのデータなど、様々なデータを統合的に活用してPDCAを回しています。そのため、トークルーム内の見た目としては小さな違いのご提案であっても、想像以上に大きく反応が変わることもあるのです。
コスメEC事業者によるLINE公式アカウント経由のCPOは4桁台の金額が標準的である中、当社が運用支援をしているクライアント企業では飽きのこない見せ方にすることでリピーターが増え、CPOが3桁台、時には2桁台で推移しているブランドもあります。配信や施策の工夫でこのような大幅な変化が現れることに、驚き喜んでくださるクライアント企業が多くいらっしゃいます。