SNSでのバズを、店頭にも波及させる
デジタルサイネージ広告を成功に導くポイントの3つ目は、SNSと連動した広告配信だ。SNSでバズった商品が店頭で売れることがあるが、一時的には売れるものの長続きしないことも少なくない。原因として、情報感度の高いイノベーターやアーリーアダプター層とマジョリティー層との間にキャズム(深い溝)があり、マジョリティー層まで情報が波及させられないことが挙げられる。
これらを解決し、マジョリティー層にもリーチするための施策としては、SNSでバズった動画を店頭でも拡散していく方法がある。具体的には、InstagramやTikTokのインフルエンサーが商品を紹介する動画を、許可を得た上で二次使用する。そうすることで、普段SNSをあまり利用していない人にもリーチできるのだ。
たとえばマンダムのヘアマスク「LUCIDO-L」の事例では、TikTokのクリエイターが該当商品を紹介する動画を複数活用したところ、売上が22.5%向上した。
「今MADSが手掛けているデジタルサイネージ広告のうち、6~7割がSNS動画の二次使用を活用する手法を採用しており、人気の施策となっています」(工藤氏)
タッチポイントの設計でインストア広告の効果を上げる
デジタルサイネージ広告の効果をさらに上げるためには、店頭以外の広告との連動も重要になってくる。MADSのデジタルサイネージ広告はPOSデータと連携して効果の分析をしているため、どの店舗でどのような人が購入しているかが可視化される。
「より効果的に次の施策へ活かしていくためには、インストアで接触する広告コミュニケーションだけでなく、事前に他の場所で接触するプレストアでの広告コミュニケーションにも活用することが重要です。そのためには、複数のチャネルで一貫したプロモーション戦略とメッセージを発信するIMC(Integrated Marketing Communication)戦略を展開し、配信結果の分析データから逆算したコミュニケーションを設計していくのが良いと考えています」(工藤氏)
たとえば、SNS動画を二次使用し配信した結果、20代女性の新規リピートが増えた化粧品があったとする。その8割がブランドスイッチした非計画購買で、平日の16〜18時に多く発生していた。こうしたデータから「第三者がすすめる情報に敏感で、他社製品と比較しどれを購入するか悩んでいる人たちは夕方に買い物をすることが多い」という仮説が立てられる。
この場合は、クチコミサイトを活用するなど商品の特徴・理解を深める取り組みを行い、生活動線にあわせたタッチポイントを強化することが効果的だと考えられる。
MADSでは美容院にあるデジタルサイネージでの配信も行っており、プレストアでのコミュニケーションとして、化粧品の商品理解とサンプリングを美容院でターゲティングしながら行うこともできるのだ。
「広告主の方々からも、テレビCMやWeb CM以外の配信手段が欲しい、美容への意識が高まる場所で商品訴求をしたいといった声をいただきます。MADSでは美容院をはじめタクシーやスポーツジム、屋外ビジョンなど多様な配信メディアを持っているので、様々な場所でプレストアでの広告コミュニケーションを提供することもできます。ぜひインストアでの施策と連携してご活用ください」(工藤氏)
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