「中立的な第三者」の事例 Yuka Appsのスコアリング
Yukaは、2017年にフランスでリリースされた、プロダクトスキャンを行うアプリです。動画にあるように、スマートフォンで食品やパーソナルケア商品のバーコードをスキャンすることで、その商品の健康へのインパクトを知れます。たとえば食品の場合、その栄養素であったり、食品添加物の含有量、有機食品に該当するかなどの情報を教えてくれます。健康への配慮の度合いを0~100の間でスコアリングし、仮にその商品が健康上お勧めできない場合は、代替商品を提案するというものです。
Yukaの大きな特徴は、公平な情報を提供するために独立性を保っていることです。広告サービスは行っておらず、ユーザーからのサブスクリプション料金を資金にアプリを運営。経済的な中立性を担保していることから、使用者からの信頼は強く、若年層を中心に広まり、サービスが提供される国も欧州の各国や米国へと拡大しています。
生活者の意識を見ても、第三者からの評価に対するニーズの高さを伺い知れます。特に中立性が高いほど信頼度は高くなるようで、Yukaのように、ブランド側がコントロールできない評価者から得ている方法は、そうでないものより信用ができると考えられています。
また近年は、ブランド側から、第三者機関に評価をお願いする、という流れも増えてきました。
Beluはイギリスに本社を置く、ミネラルウォーターと、濾過システムを販売するソーシャル・エンタープライズ(事業利益の追求ではなく社会的な問題解決を目指す企業)なのですが、Provenanceという非営利団体に、活動評価をお願いしていることで知られています。
近年、実際は環境に配慮していないにも関わらず、表面的には「エコ」を装ったブランディングは「グリーンウォッシュ」(上辺だけの環境訴求)と呼ばれるようになり、厳しい目が向けられています。そうした背景から、Beluのような社会的企業であっても、自身の活動の透明性をアピールする必要がありました。
評価パートナーに選んだProvenanceは、ブロックチェーンを活用した中立性の高い評価の仕組みを採用しており、信頼性の高い第三者からの情報を公開することで、Beluは社会的企業として強固なブランドポジションを確立しています。
意図的に作られた評価ではなく、本当に中立性の高い第三者からの評価を得ることが、今後ブランドが信頼を高めるために改めて重要なポイントになってきそうです。
「専門家による評価」の事例 HEINZ – Unfakeable
食品関連のコマーシャルは、どれもすごく美味しそうに見えますね。そして、これらのイメージがフードスタイリストによって演出されていることは、既に多くの方がご存知かと思います。バターには歯磨き粉が使用され、お肉には香ばしさを演出するのに靴墨が使われていたり。美味しそうに見える広告のイメージに対して「どうせ演出でしょ」と思われている方も多いと思います。
そこでケチャップのメーカーであるHEINZ(ハインツ)は、ある実験を行いました。撮影の目的を明かさないまま、フード・スタイリストに、サンドイッチからピザまで様々なアイテムのスタイリングを依頼。ただ演出の過程を見てみると、ハインツのケチャップだけはそのまま使われていることがわかりました。そこでインタビューをしてみると「ハインツのケチャップは手を加える必要がない」ということ。演出しなくても美味い見た目をしており、視聴者が広告で目に知るHEINZのイメージに偽りはないですよ、という内容です。
食品の広告イメージへの懐疑な目に対して、真正面から答えていった本キャンペーンは、メディアや視聴者から多くの関心を集めました。専門家からの評価もブランドの信頼度を強くする手法の一つとして考えられるでしょう。