2025年を見通す
2024年の振り返りでは、実務レベルの話題が中心となってしまいましたが、2025年の予測では視座をやや高め、未来志向で展開したいと思います。
予測1.売上貢献への期待とプレッシャーが高まる
RevOpsの概念が、どれほどのスピードで日本のセールス/マーケティング組織に浸透するのか。この点は、各社のセールス&マーケティング組織のモデルの成熟度に依存するところが大きく、総体的な予測を個人が言及することは難しいです。しかしながら、いずれの部門も売上貢献のプレッシャーに一段とさらされることは間違いありません。
現在、最も普及が進んでいる売上貢献の可視化モデルは、フォレスターのデマンドウォーターフォールでしょう。マーケティングがリードを獲得し、育成する。これを受けて、インサイドセールスとフィールドセールスが見込み客への提案機会を精査し、パイプライン(将来的な受注見込み)を作成していく流れです。大企業向けの商材を扱う場合は、パイプラインの案件推進、受注までの期間短縮、受注率の向上などを目的としたマーケティング活動を展開することもあります。
マーケティング部門のKGIを「リードの獲得」のみとしている企業もありますが、さらなる売上貢献の観点から「創出パイプラインの金額」と「これらからの受注金額」を部門ミッションに設定するケースもあります。自社のマーケティング部門でこれらのKGIを持つかどうかは各社の判断に委ねられますが、RevOpsへのアプローチが進めば可視化はされていくでしょう。
このような変化への備えとして、現状の貢献状況や、貢献に寄与しているキャンペーン施策をレビューしておくことをおすすめします。
予測2.売上貢献を測定するモデルの探求が続く
マーケティング部門が売上貢献をより強く意識する中で、その可視化にはシステマティックな課題が残っているように感じます。
現在、広く採用されている貢献の可視化モデルでは、セールスが受注の時期と金額を確定して案件を作成した段階で、案件創出の貢献者をマーケティング、セールス、パートナーなどから選定します。このモデルのメリットは、各部門が案件創出へと自律的に取り組む動機が生まれ、担当者の義務感から案件創出の最大化が図れる点です。
一方で、BtoB企業のカスタマージャーニーは複雑かつ多岐に亘るため、案件化の前段階においても複数の関係者からの影響が働いていると考えられます。つまり、現行の可視化モデルではマーケターの働きが評価されず、モチベーションの低下を生むことがあるのです。
このような課題を回避するために、米国では議論が始まっています。「異なるアトリビューション分析を行うべき」という意見が発信されるなど、モデルの探求が続く見通しです。現状の可視化モデルにおいて、レポート業務に疲労するBtoBマーケターの苦労を聞くこともあります。向上心が高く成果主義志向のBtoBマーケターを育成する環境や、企業の人材確保にも強く関連した課題であると感じます。
