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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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「実践企業に学ぶ オウンドメディア成功の秘訣」イベントレポート

“全員広報”の文化はどう作られた?LayerXの石黒氏が語る、採用加速のオウンドメディア戦略

“全員広報”はなぜ実現した?強い喜びを生む実績共有と執筆ハードル解消の工夫

━━こういう場を設けることで、みんなが発信に参加するきっかけを作ったと。

 イベントとして毎日発信をしていると、「私も書こうかな」という人が出てきます。またアドカレをすると、今まで続いてきたバトンを落とせないので、誰かがつなごうとする連帯感も生まれてきました。

 その他に大切なのが、記事の拡散です。当社CEOの福島や私は、多少なりともフォロワーがいますので、毎日社員のnoteをこまめにシェアしました。すると、スキが100以上付くようなヒット作が出てきます。こういうヒット作が出ると、今度はメンバーのnoteを読んで応募してくださる採用候補者が現れるんです。

 そういった場合は、「〇〇さんのnoteを見て、当社に応募してきた方がいました」と社内のSlackで共有します。すると執筆した本人は、誰かの人生に影響を与えられたことをとても喜びます。こういうサイクルをコツコツと続けてきました。

━━中には文章を書くのが苦手な方もいると思いますが、そういう方にはどのようなアプローチをしていますか?

 あくまで無理に書いてもらうことはしません。ただ、文章が苦手だけど発信したい人には、ドキュメントでフォーマットを作って質問を4~5つほど渡して、それぞれ300字くらいで回答してもらいます。すると、それだけで一つのブログになるんですよね。

 ちなみに、noteについては「記事」という言葉をなるべく使わないようにしています。「記事を書く」と伝えるとハードルが高くなるので(笑)。noteは「noteを書く」と言っています。

堅くなりがちな会社のイメージを中和させた「エモカレ」

━━これまでに手応えのあった企画はありますか?

 「LayerXエモカレ」ですね。エモカレとは「エモいお気持ちカレンダー」の略で、会社のメンバーがどんな想いで働いているかといった“エモい面”をインタビューで引き出していくnote企画です。

画像を説明するテキストなくても可
LayerX公式note上のマガジン「LayerXエモカレマガジン」にnoteが集約されている

 この企画を立ち上げた背景として、うちの会社は技術やコンピュータサイエンスのイメージが強すぎるのではないか、という想いがあって。KPIなどの数字ばかりを見て、評価する会社に思われていないかと(笑)。そこで社員のエモさを伝えるnoteを投稿していこうと考えたんです。

━━会社のイメージを中和させる戦略で生まれたんですね。

 広報は、会社が今どう見られているかを中立的に理解する能力が重要だと思っています。役所に行くと、よく「広報広聴課」という課がありますが、まさに“広聴”の部分です。企画を考えるときもその点を意識していて、エモカレも当社の持つイメージを考える中で生まれました。

 先ほど話したアドカレは各メンバーが個人noteに書いていますが、エモカレはLayerXの公式noteで展開しています。社内のメンバーがインタビューや撮影、ライティング、編集などを行っていますね。

効果測定はしないからこそ、社内や経営陣に伝えることが大切

━━これらの活動の効果測定はどうしていますか? 

 その質問をよくいただくのですが、基本的に効果測定やKPIはほとんど意識していません。それらを意識すると、どうしても答えを取りに行くような施策が増えてしまうので。

 ただし効果測定を意識しない一方、こうした取り組みが会社にどう役立っているのか、細かく社内や経営陣に伝えていますね

━━具体的に、どういうことを社内に伝えるのでしょうか。

 たとえば、「〇〇のnoteが、記者の間で反応が良いです」と伝えるなど、数字では見えない、一つひとつの発信が残したインパクトや反応を経営陣に届けるようにしています。

 SNSの発信は何を効果とするかの判断が難しいからこそ、こういうコミュニケーションで経営陣の信頼を得ておかないと、時には一瞬の感覚でこの活動をやめる判断があるかもしれません。そういうことが一度でも起きると、広報チームの活動も萎縮してしまいます。

 バズった数字を経営側に伝えるのは慎重になるべきで、“バズ”を成果にしすぎると、その後またバズを求められるようになっていきます。どんな目的があり、そのためにどういう活動をしているのか、この点をきちんと伝えることが大切ではないでしょうか。

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事業から離れたテーマも扱う。新メディアで作る応募者の「物語」

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この記事の著者

note株式会社(noteカブシキガイシャ)

 わたしたちは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに、表現と創作の仕組みづくりをしています。メディアプラットフォームnoteは、クリエイターのあらゆる創作活動を支援しています。クリエイターが思い思いのコンテンツを発表したり、メンバーシップでファンや仲間からの支援をうけたり、ストアでお店やブランドオーナ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47900

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