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MarkeZine Day 2025 Autumn

「実践企業に学ぶ オウンドメディア成功の秘訣」イベントレポート

「オウンドメディアの目標数値は設定しない」フラーが徹底する定性効果の見極め

 オウンドメディアで必ず課題となるのが「効果測定」。そんな中で「あえて数値目標を置かない」という選択をしているのがフラーの採用広報です。同社が大切にしている効果、その察知の方法とは━━。メディアプラットフォームで知られるnoteが主催するイベント「実践企業に学ぶオウンドメディア成功の秘訣」をレポートする本連載。今回は、フラー株式会社 代表取締役社長の山﨑将司氏、経営企画グループ広報ユニット長であり、オウンドメディアの編集長を務める日影耕造氏へのインタビューの様子をお届け。「入社後のギャップ」を避ける採用コンテンツ、社内理解を生む定性効果の伝え方など、詳しい話が語られた。

「数値目標は置かない」と判断した大きな理由

画像を説明するテキストなくても可

━━ぜひ聞きたいのは、オウンドメディアの効果測定をどうしているか、についてです。この点に悩む会社が多いのですが、そもそも数値目標を設定していないようですね。なぜでしょうか?

日影:本当に読んでほしい一人の読者に向けて記事を書いているからです。どういうことかと言うと、採用広報は、マーケティングのファネルモデルのような考え方は適さないと思っています。つまり最初にたくさんの認知を獲得して、そこから徐々に人が絞られて、最終的な成約、ここで言えば採用に至るという逆三角形のモデルは合わないということです。

山﨑:私たちは極端に言えば1PVでも良くて、フラーのような会社で働きたい、こういう働き方がしたいという採用候補者に記事が届き、その方が実際に入社していただければ価値のあるPVになります

━━私もその考えに同意するのですが、とは言え、すぐにそういった境地まで到達できるものでしょうか。どうしても最初はファネルに当てはめて、数値をもとにしたデータ分析をしてしまう例が多いと感じます。

日影:私たちも最初はデータ分析をしました。ですが、そこに労力や時間をかけるよりは、自分たちが良いと思うコンテンツをどんどん作ったほうが、圧倒的に本数がたまりますし、成果も見えてくるとわかったのです。そもそもメディアを立ち上げた初期は、分析できるほど十分なデータもたまりませんし、それをもとに判断すると間違った方向に進むリスクもあります。

 今も数字を見ていないわけではないですが、それらを分析して企画を練るよりは、フラーの事業における最前線の話や、メンバーが今考えていることを伝えるほうが価値は高いと思っています。この考えを社長の山﨑が理解していることも大きいですね。

━━トップと編集部がその考えで一致しているからこそ、数字を追わないと。

山﨑:どの記事が刺さって、どういう効果を生んだかは私が一番理解していると思っています。なぜなら、フラーの最終面接は私が出るのですが、その時に「デジタルノートで印象に残った記事」を必ず聞いているからです。もちろん、読んでいなくても大丈夫と伝えた上で、ですが。

 最近入社した社員は、フラーのエンジニアがどういうキーボードを使っているか調査した記事をお気に入りに挙げていました。その方もエンジニアで、やはり同じ職種の記事は刺さるのだと感じましたね。

━━数値による定量効果は測定していないけれど、定性効果は細かく確認している。それも社長自ら行っているということですね。とても重要なポイントだと感じました。

「入社後のギャップ」を避ける採用コンテンツとは

━━採用広報における「良いコンテンツ」とは、どのようなものだと考えていますか。

日影:会社の“ありのまま”の魅力を最大限引き出し、誠実に伝えるコンテンツです。だからこそ“事実ベース”の発信を心がけていますし、本当の今の姿にこそ伝えるべきものがあると考えていますね。そのほうが入社後のギャップも少なくなりますし、実際に当社の離職率も低くなっています。

 社員が書いた記事の言葉遣いも、直しすぎないようにしています。もちろん、社外に出るものなので、最後の番人として私たちがチェックしますが、あくまで“ありのまま”の魅力を引き出すことを主軸にしていますね。

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━━社長としては、リスクもありませんか?

山﨑:正直に言えば、怖い部分もあります(笑)。悪い面も含めて外に出すので。ですが、元々会社として誠実さを大切にしていますし、出る前の記事は私も必ず確認しています。

 ただし、私が確認するのは「リスクを見つけるため」ではなく、会社のコンテンツとして十分なクオリティに達しているかをチェックするためです。それほど大切なコンテンツだと考えていますし、私自身がデザイナー出身だから見ているという部分もありますね。

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オウンドメディアの力に気づいた「社長対談」記事

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note株式会社(noteカブシキガイシャ)

 わたしたちは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに、表現と創作の仕組みづくりをしています。メディアプラットフォームnoteは、クリエイターのあらゆる創作活動を支援しています。クリエイターが思い思いのコンテンツを発表したり、メンバーシップでファンや仲間からの支援をうけたり、ストアでお店やブランドオーナ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/09/04 07:00 https://markezine.jp/article/detail/49668

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