オウンドメディアの力に気づいた「社長対談」記事
━━今のスタイルを確立していく上で、手応えを感じた企画や記事についても伺えればと思います。
日影:1つは、新潟県の「長岡花火 公式アプリ」に関する記事です。当社と長岡花火財団で2017年にアプリを開発し、約7年の長期運営をしています。その軌跡を振り返ったものでした。フラーが関わっているアプリについて、私たちが伝えたいありのままの姿を記事にできましたし、ここから当社に興味を持ってもらう流れが生まれたと思います。
山﨑:この記事で特にこだわったのは見出し画像ですよね。後ろに映る象徴的な橋は、長岡では有名で、地元の方なら「あそこの橋だ!」と、わかるような場所です。
━━ちなみに「オウンドメディアに力を入れていこう」と考えるようになった、分岐点の記事はありますか?
山﨑:私が社長を引き継いだ2020年に作られた、前社長(創業者であり現会長)との対談記事ですね。
山﨑:ベンチャー企業のフラーで社長が交代するという事実は、社内外にかなりのインパクトをもたらしました。その狙いや社長交代の背景、二人の関係性やお互いの考えを正しく伝えるには、プレスリリースだけでは不可能と感じたのです。そこで対談形式のコンテンツを用意しました。
━━この記事の反響が大きかったということですか?
山﨑:はい。本当にたくさんの方から感想をいただきましたし、何より自分の想いをきちんと記事で伝えられる点に、オウンドメディアの価値を感じましたね。もしこの社長交代に不安を抱いている方がいても、私たち二人の関係値が高いこと、うまく経営を引き継いでいることがわかる内容になっているので、読んでいただければ安心してもらえると思いました。
日影:こういった機会によって、早くから山﨑がオウンドメディアのメリットや意義を理解してくれていました。それにより、この後の活動もしやすくなったと思います。
“定性”の成果を伝えることが社内理解を生む
━━社長の山﨑さんがこの活動の意義を感じた過程はよくわかりました。一方で、他の社員の方の理解はどう醸成していったのでしょうか?
日影:その点で大切にしてきたのは、フラーは「社員に取材する会社」と思ってもらいつつ、個人の意思を尊重することです。インタビューに出たくない方は出さないですし、顔を映したくない方は映しません。心理的な安全性を担保しています。
併せて、記事に協力していただいた社員の方には、きちんとその反響を伝えています。「こういう反応があった」「事業につながった」など。定性の成果を協力者に伝えることこそ、オウンドメディアを社内に広めるポイントではないでしょうか。
━━記事のクオリティを継続的に高めるには、どのようなことを心がければ良いでしょう?
山﨑:私がこだわるのは、タイトルと見出し画像ですね。全記事チェックしていると話しましたが、特に見ているのはこの2点です。せっかく時間をかけて良い記事を作っても、ここが魅力的でないと読んでもらえない可能性がある。それはもったいないと思います。
日影:だからといって難しいことをする必要はなく、たとえば採用広報記事なら、社内のスナップ写真など、会社の雰囲気がわかる写真を載せるだけで違うと思います。それだけで見栄えは大きく変わりますから。
━━最後に、今日参加してくださっている方々に「明日からこんなことをやってみるといいかも」というアドバイスがあれば、お願いします。
日影:ぜひカメラを持ってオフィスに行ってみてほしいですね。社内のスナップ写真は、会社の紹介資料や採用広報のインタビューなど、様々な場面で使えます。記事のネタは現場にありますので、試していただければと思います。
山﨑:私からは、インタビューや記事作成に協力していただいた方に「ありがとう」を言う習慣を作ってほしいということです。先ほども話に出たように、記事のフィードバックや感謝があると、次も協力しようというサイクルが生まれますから。ぜひ意識していただけたらと思います。

━━ともに大切な視点ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました!
