浮き彫りとなった2つの課題「マルチIDと格差」
本調査では、広告主企業が抱える課題も浮き彫りとなった。
一つは、「マルチIDの未来への備え」だ。広告主企業の約半数がこれを2025年の最重要課題として挙げた。
つまり、ユーザーが使用するブラウザやデバイスに関係なく、彼ら彼女らが広告に接触する頻度の上限を確実に設定し、効果的に維持するということ。また、広告露出とその後のサイト・アクティビティを正確にリンクさせることで、有料メディアによる間接効果など、メディア・インパクトをより正確に測定したいと考えている。
もう一つの課題として、「メディアとクリエイティブに関わるプロセスやテクノロジーを完全に同期できていない」との回答割合が86%に上った。
企業の多くは、どのような消費者ターゲットに・どのようなメディアを通じて・どのようなクリエイティブで・どのようなブランドメッセージを訴求するかという、適切なメディアとクリエイティブの掛け合わせ、言い換えれば、ブランド訴求の「パーソナライズ」に課題を感じているようだ。そして、この「メディアとクリエイティブの格差」は主に、各業界がクリエイティブ・コンテンツを犠牲にして、メディアに過度に重点を置いていることに起因している。
しかし、それは消費者がますますパーソナライズされた体験を享受するようになっている現代において、企業やブランドが機会損失をしていることを示唆している。つまり、全社的な戦略としてのAI活用には課題が残されているようだ。
この格差を埋める手段として、Mediaoceanは、企業・ブランドがチーム間のサイロをつなぎ、より効率的なクリエイティブの制作、配信を可能にする、独立したアドテク・プラットフォームの導入を提唱。
そうすることで、最も適切でインパクトのあるブランドメッセージが、適切なタイミングで、適切な消費者に届くようにするパーソナライゼーションの実現に近づくとしている。
