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MarkeZine Day 2026 Spring

【新年特集】2025→2026 キーパーソンによる予測と展望

君は世界をどう「再構築」しているか? 音部大輔氏が2026年のマーケターへ贈る言葉

AIファーストの本質は、思考の「インフラ」を整えること

 「知能とは、世界の再構築である」という概念は、マーケティングにも広く適用できると考えています。AIが人間より優れている可能性があるのは、圧倒的な情報収集量に基づき、より正確な、あるいは客観的な世界構築ができる点です。そこで重要になるのが、「AIが能力を発揮しやすいインフラを整えること」ではないでしょうか。

 かつてモータリゼーションが起きた時、その発展を促すためには自動車の性能だけではなく、「舗装された道路」や「ガソリンスタンド」などのインフラの整備が必要でした。AIをマーケティングに活用する上でのインフラ整備の1つとして、マーケティングやブランディングの文脈において「何を見るべきか」を示唆する「フレームワーク」が、より威力を発揮する可能性があります。

 たとえば、新人に「売上が悪いから店を見て来て」と指示しても、彼らは何を見ていいかわかりません。しかし、ベテランになれば「客層」「価格帯」「動線」といった視点を持っています。これと同じことがAIにも言えます。

 風雪に耐えその価値が証明されたフレームワークなら、AIが世界を再構築する際の「見取り図」としても機能し、仕事の質を大きく左右することになるでしょう。

多くの日本企業が苦手とする「目的設定」と「戦略」の解像度

──音部さんといえば、2025年は著書の『君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』(宣伝会議刊)がベストセラーとなりました。

 この本が広く読まれた背景には、世の中で「経営戦略」と「戦略」が混同されていたという事情があると思います。一般的に学ばれる「経営戦略」は、英語では「Strategic Management」であって、「戦略の作り方」そのものではありません。そのため、経営戦略のフレームワークだけでは、いざ「来期の戦略を作れ」と言われても困ってしまうこともあり得ます。

 “戦略を立てる”とは、目的達成のために資源を投下し、「資源優勢」を作り出すことです。もし今の仕事にワクワクせず不安なら、それは資源優勢が確立されていない証拠。つまり、すべきことは「管理」されているかもしれませんが、勝つための「戦略」が明示されていない状態です。自分の手でその「勝てる道筋」を描く技術を説いたことが、現場の方々に響いたのでしょう。

 また生き方の指南書を書いたつもりはないのですが、子育てと仕事の両立や婚活に悩む方々や、スポーツチームのコーチなどにも手に取っていただき、個人の目的達成のための足掛かりにしてもらえたようです。

──そんな背景があったのですね。日本の企業が抱える戦略構築の課題についても、改めてどう考えますか?

 日本企業が抱える課題の1つに、「目的設定」の弱さがあります。売上やシェアといった数値目標はあっても、「何が起きたら成功と言えるのか」という成功の定義が十分に記述されず、曖昧なことが多いように思います。

 現状を理解するための「アシッドテスト」として、チームメンバーに「今期の目的」や「戦略」を紙に書いてもらい、一斉に見せ合うワークショップを行うことがあります。経験的には、あまり高い確率で一致するものではありません。メンバー内で共有できていない戦略を、うまく実行するのは難しいでしょう。

 目的が曖昧なまま、目の前の数字や競合の動きに反応して右往左往してしまう。これは「無目的」な状態です。私たち人間の多くは、人生に明確な目的を持たずに生まれてくるので、無目的に生きることに抵抗を感じにくいものです。しかし、ビジネスにおいてそれは致命的です。

 まずは「成功した状態」を全員で想像し、共有すること。そして、そのために資源をどう使い、どう優勢を作り出すかを描くこと。AI以前の問題として、この人間同士の世界認識の共有こそが、組織を強くするために不可欠です。

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「レンガ積み」で終わるな。マーケティングとは「いい商品の定義」を変えること

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

音部 大輔(オトベ ダイスケ)

株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/01/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48384

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