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エンゲージメント26倍の事例も!IBM・アドビに聞く「生成AIでマーケ領域に変革を起こす」ための視点

生成AIは自社に適した組み合わせ・活用が重要

――AIアセットのIBM Consulting Marketing Workbenchという言葉が出てきました。これはプロダクトではないのでしょうか?

若松氏:「アセット」と呼んでいる理由は、一口にマーケティング領域と言っても業務もロールも要件も様々で、「この生成AIを導入すれば解決できます」という単純なものではないからです。

IBMにおけるデジタル変革のためのAIソリューションとIBM Consulting Marketing Workbenchの位置付け
IBMにおけるデジタル変革のためのAIソリューションとIBM Consulting Marketing Workbenchの位置付け

 戦略部門はどんなミッションを持ち、どのような業務があるのか。戦略を受けて施策を考える企画部門は、何を目的にどのようなことをしているのか。そして施策に必要なコンテンツを制作・運用する制作運用部門は、どんな数字達成を目指し、何をしているのか。こうした各ステップにおいて、どの生成AIを選び、どの業務に適用できるかを検討し、成果を測っていかなくてはなりません。

 そうした知見が結集されたものがIBM Consulting Marketing Workbenchであり、IBMのコンサルタントが企業のお悩みに合わせて、Fireflyをはじめとしたアドビ製品や、様々な生成AIを組み合わせてソリューションをご提案します。

IBM Consulting Marketing Workbenchが実現すること
IBM Consulting Marketing Workbenchが実現すること

――単に「業務現場で生成AIを使いたい」ではなく、要件や目的を深堀りしてビジネス成果につながる生成AI活用を支援していくわけですね。そのためには、やはり特定の生成AIに偏ることなく幅広い提案が必要になりますね。

若松氏:おっしゃるとおりです。AIエンジンによって得意分野があるので、ベストプラクティスを取り入れていくのが成功のポイントだと思います。

マニッシュ氏:そうですね。マーケティング・コミュニケーションには、プランニングとエグゼキューションの2つがありますが、アドビはどちらかと言うとエグゼキューションの効率化、スピードアップ、生産性に強みがあります。まさに「最適な方に、最適なコンテンツをベストタイミングで届ける」という仕組み全体を構築できるのがアドビのソリューションです。

若松氏:これらの生成AIをどう活用していくか、その方法は企業ごとに異なります。さらに言えば、生成AIだけにこだわる必要もありません。たとえば、生成AI登場前に使われていたルールベースAIも併用し、定型業務が得意なルールベースAIを生成AIが使って業務を自動化するということもできると思います。

 今、IBM Consulting Marketing Workbenchを使ったPoCを各社が開始したフェーズです。今後、事例として共有できる機会を作れるのではないかと思います。

生成AI導入に向けて押さえたい3つのポイント

――AI活用のための知見やソリューションが支援サイドに整っていることがよくわかりました。導入サイドである企業がAI活用のために進めるべき準備や留意事項があれば教えてください。

マニッシュ:3つあります。第1に、ベースとなるデータが整備できているかどうかです。生成AIと言えば、どうしてもコンテンツ制作だけが主眼になりがちですが、マーケティング・コミュニケーションを進めるうえでは、自社のお客様に対する理解が必要になります。

 ところが多くの日本企業はデータがサイロ化しており、時には定性的な非構造データであふれているというケースがあります。マーケティング領域で成果を出すには、こうしたデータを整備しておかなくてはならないという点がまず1つです。

 第2に、生成AIのハルシネーション問題にどのように対応するかです。生成AIに依存せず、アウトプットをきちんとコントロールできる仕組みを整えなくてはなりません。

 第3は、第2の問題とも関係するのですが、「生成AIのアウトプットを活用することに問題はないか」という視点です。特に画像やイラスト、動画などのコンテンツの利用に当たっては、それが商用利用できるものなのか、そのAIエンジンはきちんと許諾を取ったデータを学習しているのかなど、事前に押さえておくべきポイントはいくつかあります。

 今回のIBMさんとアドビの取り組みでは、こうした懸念にもしっかり対応できるように対応しています。

若松:そうですね。データ活用の環境整備などはIBMのデータ・コンサルタントがご支援しますし、データの利用許諾に応じて必要な連携などを行います。

 問題は、生成AIのアウトプットを業務でどのように活用していくかという点です。マニッシュさんからもあったように、生成AIのアウトプットを過信して、後から商用利用の問題が発覚した場合に被る損害は計り知れません。日本企業の大半は、そうしたリスクを恐れて生成AIが制作したクリエイティブも社内利用にとどまっています。

 だからこそグローバルに比べて活用が遅れているのも事実です。グローバルではIBMにも社外向けの生成AI活用の事例は多数ありますが、日本ではリスクがハードルとなってなかなか進みません。こうした状況を考えると、アドビさんとのパートナーシップ強化は意義深いと感じます。

マニッシュ:Fireflyは、アドビが提供しているコンテンツストックサービス「Adobe Stock」のデータを使って学習していますからね。Adobe Stockのコンテンツは学習の許諾を取ったものだけです。Fireflyの成果物を安心して使うことができます。

用利用を念頭に開発されたFireflyの特長(引用:Adobe Blog「Fireflyと著作権 Adobe Firefly を適切に活用するための著作権との付き合い方 第6回」https://blog.adobe.com/jp/publish/2024/06/03/cc-firefly-generative-ai-and-copyright-risks-and-usecases)
商用利用を念頭に開発されたFireflyの特長(引用:Adobe Blog「Fireflyと著作権 Adobe Firefly を適切に活用するための著作権との付き合い方 第6回」

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:日本アイ・ビー・エム株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/28 10:30 https://markezine.jp/article/detail/48544

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