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Z世代の「買いたい」を刺激する2つのトリガーとは?企業が取るべき「60点の共感」戦略


Z世代の消費を促す2つのトリガー

 では、Z世代の消費行動を促すトリガーはどこにあるのだろうか。今瀧氏は「Z世代が消費行動を起こすのは、合理的な理由ではなく、感情が動いたときです」と述べる。

 Z世代の購買を促すトリガーには、大きく分けて以下の2つがある。

  • タイパ(タイムパフォーマンス):いかに短時間で価値を感じられるかが重要(例:ショート動画、まとめ記事、時短コスメ、即実感できる商品)
  • エモ(エモーショナルな刺激):経験×幸福(ハッピー)×コミュニケーションで、直感的に「いいな」と思わせる要素(例:UGC、推し活文化)で、感情を揺さぶるストーリーや共感できるメッセージ

 タイパの概念はZ世代の消費行動に大きな影響を与えている。情報過多の現代において、彼らは「いかに短時間で価値を得られるか」を重視する傾向にある。そのため、短時間で理解できる動画コンテンツや、即効性のあるコスメ、手軽に楽しめる食品などが支持されやすい。

 例として、今瀧氏は同社が企画した「タイパ至上主義麻雀」の取り組みを挙げる。「タイパ至上主義麻雀は、初心者でも“短時間で麻雀がわかった気になれる”ゲームとして話題となり、Xで100万件以上のインプレッションを獲得しました。Z世代は“すぐに理解できる”ことを求めています。難しいルールを覚えさせるのではなく、“まずは楽しんでもらう”ことを重視した設計が成功のポイントでした」(今瀧氏)

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 もう1つの「エモ(エモーショナルな刺激)」もZ世代の消費行動を決定づける重要な要素である。彼らは商品の機能や価格だけでなく「その商品が自分にとってどんな感情をもたらすのか」を重視する。

「60点の共感」を狙う、「エモ」マーケティング

 今瀧氏によると、「エモ」マーケティングとは、「共感」をベースに消費者の感情を動かし、行動につなげるマーケティング手法だという。Z世代は商品そのものよりも、その商品がもたらす体験やストーリーに価値を見いだす傾向がある。そのため、企業は単に製品の機能や特徴をアピールするだけでなく、消費者の感情に訴えかけるブランディングを意識する必要がある。

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 企業がZ世代に向けて「エモマーケティング」を活用する際には、以下のようなポイントが重要となる。

  • ストーリー性を持たせる:商品に関する感動的な背景や、ユーザーの体験談を交えて訴求する
  • 共感できるメッセージを発信する:ターゲットが自分ごととして捉えられるような価値観を前面に押し出す
  • ユーザーとのインタラクションを大切にする:SNS上でのコメントやリツイートを通じて、ユーザーがブランドの一部として参加できる環境を作る

 このエモマーケティングを成功させるには、「100点の共感」ではなく「60点の共感」を狙うことが重要であると今瀧氏は述べる。

 「100点の共感を狙ってしまうと、そのメッセージに完全に共感できる人は限られてしまいます。しかし、60点の共感を狙うことで、多くの人が『なんとなくわかる』と感じ、それが口コミや拡散につながるのです」(今瀧氏)

 この考え方を取り入れることで、ブランドメッセージはより広く受け入れられやすくなる。たとえば、香水について考えたとき、「香りがいい」というのは機能的な話である。そこを「街ですれ違った人が、元カノと同じ香水を付けていた」と訴求し、見た人が「ああ、あのときは楽しかったな」と共感するのが「エモ」だと今瀧氏は話す。

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 この「60点の共感」戦略は、Z世代向けのマーケティングにおいて特に有効であり、彼らが日常的に使うSNSや口コミの中で広がりやすい要素となる。

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Z世代のインサイトは捉えるには? 5つのポイント

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この記事の著者

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

 株式会社エヌプラス代表取締役

 デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/16 14:30 https://markezine.jp/article/detail/48584

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