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『MarkeZine』(雑誌)

第113号(2025年5月号)
特集「“テレビ”はどうなる?」

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MarkeZine Day 2025 Spring

5つの不文律を見直し、話題化や売れ行き好調を実現!「シャウエッセン 夜味」開発&プロモーションの裏側

 2025年に発売40周年を迎えた日本ハムのロングセラーブランド「シャウエッセン」。同ブランドが期間限定で発売した「シャウエッセン 夜味」はSNSやテレビで話題となり、発売初月の売り上げは目標の3倍を超えるなど実績を残した。2025年3月開催のMarkeZine Day 2025 Springには、同施策を推進した岡村香里氏が登壇。一連の取り組みの裏側を明かした。

ロングセラーブランドゆえの「3つの課題」

 日本ハムのシャウエッセンは1985年に発売され、2025年で40周年を迎えたロングセラーブランドだ。2023年度の同社のデータでは「発売からの総販売本数を1本ずつつないでいくと、地球100周もの長さになる」という。しかし、シャウエッセンの広告宣伝やプロモーションを担当する岡村氏は、ロングセラーゆえの課題も抱えていたと明かした。

 1つ目の課題は、コアファンの高齢化だ。シャウエッセンのヘビーユーザーは50代以上の女性となり、若年層の取り込みが大きな課題になっていた。2つ目には、食卓出現頻度の問題、つまり食シーンが限定されていることが課題に挙げられた。朝食や昼食、弁当で使われることが多いシャウエッセンだが、それ以外の食事シーンにはあまり浸透していなかった。

 そして3つ目は、ブランドが購入されるきっかけとなるカテゴリーエントリーポイント(※)をいかに増やすかが課題に。「ブランドのさらなる拡大のために欠かせない視点です」と岡村氏は語った。

※カテゴリーエントリーポイント(以下、CEP)は、あるカテゴリーが想起されるきっかけとなる、消費・利用される状況や目的、ニーズを捉える考え方。カテゴリーエントリーポイントごとに、異なるブランドが想起されることもある。

日本ハム株式会社 加工事業本部 マーケティング統括部 マーケティング室 ブランドマネジメント課 リーダー 岡村香里氏
日本ハム株式会社 加工事業本部 マーケティング統括部 マーケティング室 ブランドマネジメント課 リーダー
岡村香里氏

期間限定の新商品で、食シーンの広がりを狙う

 同社は3つの課題を解決すべく、様々な対応を行ってきた。たとえば、電子レンジ調理の解禁。簡単調理や時短へのニーズの高まりに対応するため、社内で数百回ものテストを経て最適な調理時間を算出した。話題化を狙い「シャウエッセンは、手のひらを返します。」という形でリリースし注目を集めたり、若年層をターゲットに新しいフレーバー商品を発売したりした。

※パッケージは2019年当時のもの
※パッケージは2019年当時のもの

 また食シーンを拡大するために、シャウエッセンの素材を活かしたメニューを提案。中には夜に食べられるメニューも含まれていたが、顧客だけでなく社内においても「シャウエッセンは朝に食べるものである」という認識が根強いことに気づいたという。

 この状況を打開するには、メニューの提案以外のアプローチが必要なのではないか。そこで生まれたアイデアが、夜に食べてもらえるような新しいタイプのシャウエッセン「夜味」を開発することだった。開発にあたってまず考えたのは、社内の様々な「不文律」をリデザインすることだったと岡村氏は説明した。

 「シャウエッセンは40年の歴史を築いてきたからこそ、様々な固定観念に支配されてしまっている部分もありました。ターゲットや食シーン、ネーミングなど、要素を改めて捉え直しマーケティングに活用する。そうすることで、CEPの設計を試みました」(岡村氏)

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48594

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